「冷たい」背景の前に置くと商品が売れる?
「冷たい」背景の前に置くと商品が売れる? / Credit: canva
psychology

広告背景を「冷たく」すると商品に「新しさ」を感じやすくなると判明!

2023.04.14 Friday

新製品を大ヒットさせるには、広告の背景を「冷たく」すべし⁈

上智大学、青山学院大学、中央大学、豪ボンド大学(Bond University)の研究者チームはこのほど、宣伝広告において「冷たさ」を連想させる背景を使うと、製品を「新しく革新的」と感じさせやすくなることを発見しました。

特にこの効果は、製品の見た目が古めかしいアンティークなものより、今風でモダンな場合に現れやすかったとのことです。

この結果を反映させるなら新製品の広告撮影をするときは、雪景色の前に置くと売上が伸びるかもしれません。

研究の詳細は、2023年3月1日付で学術誌『Journal of Business Research』に掲載されています。

背景画像の「冷たさ」が商品の「新しさ」知覚の向上に寄与:温度の感覚が製品評価に与えるメカニズムを解明 https://www.sophia.ac.jp/jpn/article/news/release/press20230410/
The temperature of newness: How vision–temperature correspondence in advertising influences newness perception and product evaluation https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0148296323001595

広告の背景によって製品の印象が変わる?

私たち消費者が商品に「新しさ」を感じることは、企業にとって、売上や製品の普及に重要な要因とされています。

ここでいう「新しさ」とは、買い手が製品に対し「新規性や創造性があって革新的」と感じる大きさを指します。

これは新しいというイメージが高まるほど、消費者の購買意欲が刺激されるので、広告宣伝において大切なポイントとなります。

従来のマーケティングでは、製品の新しさを提示する際は、デザインや機能の改良点をアピールすることが重要だとされてきました。

しかし製品のリニューアルなどでこの点を強化しようとすると、製品の再設計や生産プロセスの変更を迫られ、多額のコストや時間を要してしまいます。

そこで研究チームは、金銭的・時間的なコストをあまり必要としない広告画像に注目しました。

中でも広告の背景画像は、製品のコンセプトを伝えるために重要な役割を果たしています。

広告に最適な背景画像を使用できれば、製品に狙い通りのイメージや印象を形成することができます。

広告の背景で印象は大きく変わる
広告の背景で印象は大きく変わる / Credit: canva

また興味深いことに、先行研究から消費者が製品に対して「新しさ」を感じる要因の一つとして「曖昧さ」があることが分かっています。

「曖昧さ」とは、製品の特徴を明確に評価することの難しさを指し、この程度が高いほど私たちは「製品が新しい」と感じやすくなるそうです。

しかし一方で、広告の背景画像がどのように製品の新しさのイメージに繋がるかは明らかになっていませんでした。

この疑問の答えを見つけるために着目されたのが「冷たさ」です。

同チームの研究者は以前、実際にある自動車広告の「冷たさを感じさせる背景」を見て、「新製品に新しさを強く感じた」といいます。

そこで私たちは「冷たさ=新しさ」という連想を無意識のうちに持っているのではないかと仮説を立て、調査を開始しました。

次ページ背景の「冷たさ」が製品を「新しく」感じさせる!

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