3Dモデルを瞬時に生成するAI
3Dモデルを瞬時に生成するAI / Credit:OpenAI_OpenAI’s new text-to-3D system: The dawn of voice-controlled CAD(2023 New Atlas)
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文章から3Dモデルが生成できるAIシステム

2023.05.22 Monday

ゲーム・映画制作、建築・家具デザインには、3Dモデルを作成する3Dデザイナーの存在が欠かせません。

ところが、「椅子の3Dモデルをデザインして」と言葉や文字で指示するだけで、瞬時にAIが3Dモデルを作成するような時代が近づいています。

ChatGPTで有名なアメリカの人工知能開発会社「OpenAI」は、文章や2D画像から3Dモデルを作成するAIシステム「Shap-E」をリリースしました。

以前に開発された同様のAIツールに比べて繊細な造形が可能になっており、将来的には3Dプリンターを使って出力できると考えられています。

これを利用するなら3Dデザインの仕事を簡略化したり、独自のフィギュアやゲーム内アイテムをユーザーが生み出したりできるでしょう。

詳細は、プレプリントサーバ「arXiv」に2023年5月3日付で発表されました。

OpenAI’s new text-to-3D system: The dawn of voice-controlled CAD https://newatlas.com/technology/openai-shap-e-text-3d-ai/ from avocado chair to banana plane, OpenAI’s new tool generates text-to-3D print objects https://www.designboom.com/technology/avocado-chair-banana-airplane-shap-e-openai-text-to-image-3d-printing-05-12-2023/
Shap-E: Generating Conditional 3D Implicit Functions https://arxiv.org/abs/2305.02463

簡単な文章を元に3Dモデルを生成するAIシステム

画像生成AIはクリエイターに大きな影響を与えている
画像生成AIはクリエイターに大きな影響を与えている / Credit:Canva

画像生成AIが最初に登場して以来、このツールは瞬く間に世界中に広がりました。

現在進行形でその技術は向上しており、「AIが出力した画像」と「クリエイターが描いた絵」の見分けがつかないケースも増えてきました。

もちろんAIの画像にはAI特有の傾向や様々な欠点が見られますが、簡単な指示だけで瞬時に何パターンもの画像を生成してくれる点は、人間では成しえない強みだと言えます。

OpenAI社は2D画像で起きているこの現象を、3Dモデルの分野でも生じさせようとしています。

彼らは2022年の12月、3Dモデルを生成するAIシステム「Point-Eをリリースしました。

2022年に発表された「Point-E」が生成した3Dモデル。小さな点が集まってできている
2022年に発表された「Point-E」が生成した3Dモデル。小さな点が集まってできている / Credit:OpenAI_OpenAI’s new text-to-3D system: The dawn of voice-controlled CAD(2023 New Atlas)

Point-Eは3D点群(3次元座標を持つ点データの集合)により3Dモデルを生成します。

これは文字通り小さな点が集まってできた3Dモデルであり、サンプルを見る限りでは、お世辞にも質が良いとは言えません。

ところがそれからわずか数カ月後、OpenAI社は3Dモデルを生成する新しいAIシステム「Shap-E」をリリースしました。

Point-E(左)とShap-E(右)の比較。
Point-E(左)とShap-E(右)の比較。 / Credit:OpenAI_from avocado chair to banana plane, OpenAI’s new tool generates text-to-3D print objects(2023 designboom)

Shap-EはPoint-Eとは異なり、陰関数によって形状を表現しているため、従来のシステムよりも複雑で正確な3Dモデルを生成できます。

Point-EとShap-Eが生成したモデルを比較すると、質の違いは明らかですね。

しかもこれらは、人間が短い文章もしくは画像で指示を与えるだけで、瞬時に生成されるというのだから驚きです。

新しい3Dモデル生成システム「Shap-E」が生成したモデル。より繊細な造形が可能に。
新しい3Dモデル生成システム「Shap-E」が生成したモデル。より繊細な造形が可能に。 / Credit:OpenAI_OpenAI’s new text-to-3D system: The dawn of voice-controlled CAD(2023 New Atlas)

「ペンギン」「緑のブーツ」などの一般的なワードだけでなく、「アボカドみたいな椅子」「バナナみたいな飛行機」といった現実にはない独自のデザインも生成可能です。

もちろんPoint-Eから大きく進化したとはいえ、Shap-Eが生成する3Dモデルのサンプルのレベルは高くありません。

かなり昔のゲームであれば違和感はありませんが、現代レベルのモデルではないでしょう。

それでもShap-Eは様々な可能性を秘めており、今後の応用を考えると、技術者だけでなく、一般ユーザーですらワクワクできます。

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