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満腹でもデザートは食べられる「別腹」には科学的根拠がある!

2023.10.05 Thursday

仲間と中華で色々なものを頼んだとき、普段自分が食べる量以上に食べてしまうことはありませんか?

あるいは、ボリュームたっぷりの食事を堪能した後だというのに、デザートはするりと入ってしまった経験は?

よく「別腹」と言われる現象は、「感覚特異的満腹感」として説明されています

今回は、この現象が生じる科学的根拠について解説します。

また、私たちの体に本当に「別腹」なるものが存在するのかについても探ります。

Society for the Study of Ingestive Behavior https://www.ssib.org/web/classic24.php

食べ物への新たな興味が「別腹」を生む

「感覚特異的満腹感」とは、特定の食品を摂取した後に感じる満足感の低下と、新たな風味や異なる食品に対する食欲の回復現象を指します

この概念は、1956年にフランスの生理学者ルマネン氏(Le Magnen)によって初めて記述され、1981年にロールズ氏(B J. Rolls)らによって名付けられました。

食事をすると、私たちの脳は報酬中枢を刺激し、特定の化学物質が放出されます。これが「満腹感」です。しかし、同じ食品を食べ続けると、この快感は徐々に減少していきます。

その結果、すでに食べた食品への欲求は低下し、異なる風味の食品に対しては興味と共に食欲が湧き上がるのです。

新たな食べ物には新たな食欲が湧く。
新たな食べ物には新たな食欲が湧く。 / Credit: Canva

ロールズ氏は、この現象を検証し1984年に論文として発表しました。研究では18〜26歳の46人を2グループに分け、一方には4つの食物を含む「多様コース」を提供し、もう一方には同じ食物だけの「単品コース」を提供しました。

結果、「多様コース」を食べた参加者には、既に食べた食品への欲求の減少と、次に提供される新たな食品への興味喚起がみられました

さらに、「多様コース」の参加者は、より多く食べる傾向があることも示されました「単品コース」のグループと比べ、全体的な食品消費量が44%増加していたのです。

これ以降この実験は、複数の研究者らにより再現されています。ここでは米メディアVoxの動画をご紹介します。

動画では、参加者がマカロニ・アンド・チーズを「満腹になった」というまで食べた後、アイスクリームを大量に食べる様子が紹介されています。満腹を訴えていた参加者は、マカロニ・アンド・チーズの3倍量のアイスクリームを平らげたと報告されています。

※なお、マカロニ・アンド・チーズは、米国人にとってのコンフォート・フード(なにがしかの感傷を呼び起こす、調理が簡単で高カロリーの高炭水化物食品)です。日本だと牛丼とか卵かけご飯などをイメージしてください。

これについてロールズ氏は「参加者は物理的に「満腹」だったわけではなく、単にマカロニ・チーズをこれ以上食べる気が失せ、何か違うものを欲していただけなのです」と説明します。

食べ過ぎにつながる印象のあるこの現象ですが、上手く利用すれば食育に役立つとも考えられています。

2013年に発表された研究によれば、子供は多様な野菜を提供された方が、単一の野菜よりもよく食べることが示されています。

いろいろな野菜を出せば子供の興味も新たになる。
いろいろな野菜を出せば子供の興味も新たになる。 / Credit: L S Roe, et al. (2013) をもとにナゾロジー編集部作成

ところで、この「感覚特異的満腹感」をダイエットの手段として利用できないのでしょうか?

単一食品への「飽き」を利用すれば、食べる量を減らすことができるように思われますが、科学はどう答えているのでしょう。

次ページ「感覚特異的満腹感」でダイエットは可能か?

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