不登校児童の分身となるロボットを代わりに登校させる試みがスタートする
不登校児童の分身となるロボットを代わりに登校させる試みがスタートする / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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「ロボットが代わりに登校」熊本市の新たな不登校支援に世界が注目!

2023.10.16 Monday

日本における小中学生の不登校は増え続けており、文部科学省調査によると2022年度の小中学生の不登校者数は過去最多の29万9048人でした。

これにはコロナ禍での活動制限による影響だけでなく、以前から問題視されてきた「いじめ」や「交友関係への不安」などが関係しています。

こうした不登校問題に取り組むべく、熊本市教育委員会は、不登校生徒が「分身ロボ」を使って授業に参加できるよう計画しています。

この珍しい取り組みは世界的にも注目されており、人々はテクノロジーの介入がどのような結果をもたらすのか興味を抱いています。

In one Japanese city, kids can now send robots to school instead of going themselves https://www.zmescience.com/science/news-science/kids-in-this-japanese-town-can-now-send-robots-to-school-instead-of-going-themselves/ 不登校児童生徒の支援について https://www.city.kumamoto.jp/hpkiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=43800

熊本市では「不登校でも分身ロボで授業に参加」できる!?

小中学生の不登校が爆発的に増えている
小中学生の不登校が爆発的に増えている / Credit:Canva

熊本市は以前から不登校生徒への支援を続けてきました。

例えば、オンラインによる学習支援によって、生徒は自宅から自分のペースで学んでいくことができます。

またカウンセラーや熊本大学の学生が寄り添い、悩みを聞いたり一緒に遊んだりするプロジェクトもあるようです。

そして熊本市教育委員会が新しく計画しているのは、ロボットを用いた授業への参加です。

不登校生徒は自分の分身として自宅からロボットを操作し、授業に参加したり、他の生徒と触れ合ったりするというのです。

導入予定のロボットは1mサイズであり、イスに座った子供と同じ目線にタブレット機器を装備しています。

この部位は可動式になっており、操作することで周囲を見回したり、クラスメイトの声を聞いたりできます。

またロボットは自走できるため、他の生徒と同じように教室移動したり、自分から友達に近づいて会話を楽しんだりできます。

自宅からロボットを操作して授業に参加する新しい取り組み。画像はAI生成によるイメージ。
自宅からロボットを操作して授業に参加する新しい取り組み。画像はAI生成によるイメージ。 / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

熊本市教育委員会は、利用する生徒たちと相談しながら、学校行事への参加なども検討するようです。

従来のオンライン授業ではカメラが固定されているため、すべてが受動的でした。

しかし、この分身ロボを用いた方法であれば、生徒は能動的に行動するよう刺激を受けるため、これらの新しい刺激が学校生活に対する積極的な見方を育むよう助ける可能性があります。

熊本市教育委員会によると、2023年11月からの開始が検討されているようです。

世界が注目する「教育分野へのロボットの導入」
世界が注目する「教育分野へのロボットの導入」 / Credit:Canva

ちなみに、この新しい取り組みに関心を寄せているのは、日本の人々だけではありません。

世界中の人々が「SFのようだ」と驚き、「試してみる価値はある」と注目しています。

確かにロボットアバターを用いたコミュニケーションは、昔からSF作品の中で描かれてきました。

しかし今や、それは技術的に不可能ではなく、日本の学校で実現しようとしています。

地球物理学者兼サイエンスライターのミハイ・アンドレイ氏もまた分身ロボの導入に注目しており、ポジティブに捉えています。

教育現場にどの程度テクノロジーを介入させるかについては現在でも議論が続いていますが、「今回のような良い成果を上げるかもしれない解決策は、歓迎され、もっと研究されるべきだ」と話します。

彼は「日本のロボット・プロジェクトは、テクノロジーと教育が交差する重要なケーススタディとなるかもしれない」と考えています。

もちろん、分身ロボの取り組みが不登校問題にどの程度の改善をもたらすかは、今のところ分かりません。

それでも、もし成功すれば、日本の枠を超え、教育現場でのロボットの可能性が大きく広がっていくことでしょう。

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