古代ローマ人が愛したワインの風味が判明!スパイシーで焼きたてパンみたいな香り
古代ローマ人が愛したワインの風味が判明!スパイシーで焼きたてパンみたいな香り / Credit: canva, Dimitri Van Limbergen et al., Antiquity(2024)
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古代ローマ人が愛したワインの風味が判明!スパイシーで焼きたてパンみたいな香りだった

2024.01.30 Tuesday

2024.01.28 Sunday

古代ローマ人がワインの愛好家だったことはよく知られています。

ワインは貴族だけでなく庶民の間でも親しまれ、宗教上ではワインの神バッカスに捧げる供物としても使われました。

しかし一方で、古代ローマ人が愛したワインが実際にどのような味だったのかは分かっていません。

甘かったのか、苦かったのか?フルーティーなのか、土っぽい渋みがあったのか?

今回、ベルギー・ゲント大学(Ghent University)が新たに調査したところ、ローマワインはスパイシーで、トーストしたパンのような風味があったことが示唆されました。

研究の詳細は2024年1月23日付で学術誌『Antiquity』に掲載されています。

Spicy wine: New study reveals ancient Romans may have had peculiar tastes https://phys.org/news/2024-01-spicy-wine-reveals-ancient-romans.html Toasted Bread and Walnuts: The Secret to Sophisticated Roman Wine Revealed https://www.ancient-origins.net/news-history-archaeology/roman-winemaking-sophistication-0020248
Making wine in earthenware vessels: a comparative approach to Roman vinification https://www.cambridge.org/core/journals/antiquity/article/making-wine-in-earthenware-vessels-a-comparative-approach-to-roman-vinification/21CE9DC73E121EE173E902625E9E559D

古代ローマのワイン作りに欠かせない「ドリウム」とは

ワインの味を解明するにあたって研究チームが調査対象としたのは「ドリウム(Dolium)」と呼ばれる粘土性の壺です。

ドリウムは古代ローマ時代にワインの醸造や貯蔵に使用された大きな容器でした。

一般的には卵型の丸い容器に広い口、面積の狭い底部という作りになっています。

粘土性の壺「ドリウム」
粘土性の壺「ドリウム」 / Credit: en.wikipedia

その一方で、ドリウムでの醸造がワインの味や香りにどんな影響を与えていたかに関する研究はありません。

そこでチームは、古代ローマ時代のドリウムを使ってワインを醸造するとどんな風味が生まれるかをシミュレーションしました。

その際に参考にしたのは、現在のジョージアで伝統的に使われている「クヴェヴリ(qvevri)」という土器です。

ジョージアはワイン発祥の地と考えられており、約8000年のワインの歴史があります。

ワイン醸造に伝統的に使われてきたクヴェヴリは、古代ローマのドリウムとほぼ同じ見た目をしており、歴史的な記録を参照すると、ワインの製造プロセスまでかなり酷似していることが分かっています。

ジョージアの伝統的なワイン製法に用いられる「クヴェヴリ」
ジョージアの伝統的なワイン製法に用いられる「クヴェヴリ」 / Credit: ja.wikipedia

ちなみにクヴェヴリを用いたワイン製法は2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されています。

これらを踏まえてチームはクヴェヴリを参考にしながら、ドリウムでワインを醸造するとどんな風味が生まれるかを調査しました。

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