得体の知れない不安感が生じる脳領域を特定!人為的な操作で不安を打ち消すことにも成功
得体の知れない不安感が生じる脳領域を特定!人為的な操作で不安を打ち消すことにも成功 / Credit: canva
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「漠然とした不安」が生じる脳領域を特定!人為的操作で不安を打ち消すことにも成功 (2/3)

2024.02.20 Tuesday

2024.02.18 Sunday

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不安感を引き起こす脳領域を特定!

これまでの研究で、マウス「ガラス玉」を前にすると不安感が生じることが知られています。

マウスにとってガラス玉は天敵のような直接の脅威ではないのですが、なんとなく居心地が悪く不安にさせるようです。

そこで今回の実験では、床一面にガラス玉を敷き詰めたケースを用意し、マウスにとって言い知れぬ不安誘発環境を作りました。

床一面にガラス玉を敷き詰めて、マウスに不安感を生じさせる
床一面にガラス玉を敷き詰めて、マウスに不安感を生じさせる / Credit: 東北大学 – 説明のつかない不安感の正体 手綱核アストロサイトによる神経活動制御の解明(2024)

この状態でマウスの内の神経活動を記録したところ、手綱核のアストロサイトにおいてシータ波(5〜10Hz)の活動が増強することが示されたのです。

これは通常の飼育ケースにいるときには見られない活動です。

では、手綱核をシータ波で刺激すれば、ガラス玉がなくても不安感を誘発できるのでしょうか?

これを検証すべく、チームは「2方明暗箱装置」を用意しました。

これはケース内の半分をガラス玉を敷いた明るい部屋にし、もう半分をガラス玉のない暗い部屋にしたもので、中央から自由に行き来できます(下図を参照)。

マウスは明るく開放的な場所を嫌い、暗くて狭い場所を好むので、この場合も当然、ガラス玉のない暗い部屋を好むはずです。

A:ガラス玉の部屋にいるとシータ波が増強、B:実験セット。右は明室と暗室の滞在時間を明るさで示したもの
A:ガラス玉の部屋にいるとシータ波が増強、B:実験セット。右は明室と暗室の滞在時間を明るさで示したもの / Credit: 東北大学 – 説明のつかない不安感の正体 手綱核アストロサイトによる神経活動制御の解明(2024)

チームはマウスを明るい部屋に入れた状態で実験を始めたところ、予想通り、マウスはすぐに快適な暗い部屋に移動しています。

そこでマウスが暗い部屋に入るタイミングで、手綱核にシータ波(8 Hz)の電気刺激を与えてみました。

すると驚くことに、マウスは快適なはずの暗い部屋を避けるようになり、ガラス玉のある明るい部屋に留まる時間が長くなったのです(上図のB)。

このことから、手綱核が不安感をコントロールする脳領域でありさらに不安感を人為的に誘発できることが確認できました。

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