MBTIテストの分類イメージ。
MBTIテストの分類イメージ。 / Credit:canva,いらすとや,ナゾロジー編集部
psychology

人気の16タイプ性格診断「MBTI」が科学的根拠に乏しいと言われる4つの理由 (2/2)

2024.06.13 Thursday

前ページ無料で診断できる「16 Personalities」は正式なMBTI®とは異なる

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実は本家MBTI®も科学的根拠が乏しい

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MBTI®は、米国の作家ブリックスとマイヤーズ、ユング派の心理学により長年に渡って性格検査の改良が進められ、検査としての精度に関して検証が繰り返されてきました。

そのため米国では一定の支持を得ている性格検査ではありますが、その一方でこの診断については疑問を投げかけられているのも事実です。

ではこの診断のどこに問題があるのでしょうか? ひとつずつ見ていきましょう。

性格を検査で捉えきれていない可能性がある

まず他の性格検査との相関が小さく、妥当性が低い点です。

心理検査における妥当性とは、その検査が測定を試みているもの(ここでは性格)を的確に測定できているかを意味します。

妥当性が担保されているかは、もう既に確立されている検査との相関を見ることなどで評価されます。

ノルウェー経営大学のエイドリアン・ファーナム(Adrian Furnham)氏が行なった研究では、MBTI®が心理学研究でよく使用される性格検査NEO-PI-Rとの相関が小さく、妥当性に欠けることを報告しています。

つまり、MBTI®は性格を検査で捉えきれていないという指摘があるのです。

期間を空けて再度診断を受けると結果が変わってしまう

次に性格検査としての信頼性が低い点です。

心理検査における信頼性とは、期間を空けて検査しても前回の検査結果と同じになる、という結果の安定性を指します。

米国オクラハマ大学のケン・ランドール(Ken Randall)氏らが行なったメタ分析の研究では、興味・関心の方向、物事の見方、外界との接し方の3指標に関しての信頼性は十分だったものの、判断の仕方に関しては信頼性が低いとの結果を報告しています。

MBTI®の診断結果が昨日と今日で違うとなると、会社でのポジションや学業成績の予測に利用したとしても、検査時と現在では診断されたタイプが変わってしまっている可能性があります。

当然そうなると、公の場で使うのが難しくなってきます。

MBTI診断を受けて毎回結果が変わってしまう人は、この検査がもともと内包する問題によって、結果が変わっている可能性があります。

おそらく、時間を開けて診断したら結果が変わってしまったという人は、判断の仕方に関するタイプ分けの思考型(T)と感情型(F)が入れ替わっていたのではないでしょうか?

客観的なデータに基づいていないユングの理論がベースになっている

3つ目は「夢分析」などで有名なカール・ユング(Carl Jung)の理論がベースになっている点です。

キャサリン・ブリックス氏とその娘であるイザベル・マーヤーズ氏は、ユングが提唱した性格のタイプ分けを試みた理論に、判断型か、知覚型かという「外界との接し方」の4つ目の指標を加え、MBTI®を作成しました。

しかしユングによる性格の分類は、ユング自身の観察や経験に基づいて作られており、客観的なデータに基づいたものではないとされています。

そのため、性格検査として利用することには問題が指摘されているのです。

二項対立型の指標で、その中間層を考慮していない

最後に、この診断では思考か直観かのような二項対立型の指標を用いて、タイプを決めているため、その中間となる部分が考慮されていないという問題があります。

二項対立型の指標に基づく診断は、外向的でも内向的でもない人や、考え込むわけでもなく感情的でもない人などを、どちらか一方のタイプに無理やり当てはめる必要性が出てきてしまいます。

現在の心理学では、性格とは特定のタイプに当てはめるものではなく、連続的なグラデーションによって表現されるべきだという意見が優勢です。

そのため、現在はタイプに分類する類型論に基づく性格検査ではなく、誠実性や協調性などのいくつか性格特性を設け、それぞれの程度で性格を評価する特性論に基づく性格検査が主流になっています。

MBTIは仲間内での話のネタとして楽しむのが一番良いかもしれない
MBTIは仲間内での話のネタとして楽しむのが一番良いかもしれない / Credit: Canva

このようにMBTI®は、性格検査としての信頼性や妥当性をはじめ、ベースになった理論、性格を分類する仕組みに問題が指摘されています。

その点を考慮すると、MBTI®を元ネタにした考えられるMBTIの診断結果も、あまりあてにならないと考えた方がいいでしょう。

血液型診断や星座占いなどと同じくひとつのエンタメとして楽しむのがいいのかもしれません。

「言われなくても、そんな楽しみ方しかしてないよ」という人の方が多いかもしれませんが、本来のこの検査の目的や経緯を知ることは、安心してサービスを楽しむために大切なことでしょう。

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人気の16タイプ性格診断「MBTI」が科学的根拠に乏しいと言われる4つの理由 (2/2)のコメント

しの

外向的、感情的という単語を使用されていらっしゃる時点でMBTIの各指標を正しく理解されていらっしゃらないとお見受けしました

    らん

    当記事で外交的、感情的と書いてあるのは、「二項対立型の指標に基づく診断」の例として用いられている部分なのでMBTIの指標についてでは無いと思います。
    それにMBTIの診断結果には外交的等の表現も使われています。

dada

本家が「16 Personalities性格診断テストはMTBI®とは似て非なるものである」と述べている点について、もうちっと掘り下げないとですね。
あと、「思考か直観かのような二項対立型の指標を用いて、タイプを決めているため、その中間となる部分が考慮されていない」は完全に見当違い。本来これは右利きか左利きか両利きかという識別であり、軸の概念ではない。中間利きって存在する? 強いて言えば、利き手が100とした場合に反利き手は30ぐらい使えるって表現するくらい。あえて「中間」を仮定すると、利き手も100、反利き手も100となり、それはいわゆる両利きってこと。

    由良

    それは利き手を例に取ってるからでは?
    グラーデションで判断すべきという話なんだから、色とかで考えたほうがわかりやすいでしょう。それこそ色なら赤と青の中間や7対3とかも定義できるわけで

あかさ

MBTI、ずっとうさんくさいと思っていたし、知人から「やってみて」と言われるのがいやでした。
根拠も提示されており、むやみに否定するのでなく冷静に向き合い方を示している良記事と思いました。ありがとう。

ん?

では何なら信頼できるコンテンツと?

ゲスト

性格は無数にあるのに、完全な分類なんて不可能でしょ。
それでもある一定程度の傾向は示しているように思う。

ゲスト

胡散臭い記事ですね

ゲスト

人間の性格が仮に100タイプあるとして、MBTIでぴったり診断される16タイプが「わかる~!」となって流行っている肌感覚。
私は16タイプに当てはまっていたようで似非MBTIを元にしたコンテンツも楽しめてます。
それはそうと残り84タイプの人に「科学的に正しくない」とか「信憑性に欠ける」とか言われてうぜ~って感じ。
反証するなら「安定性も妥当性も信頼性も超スーパーMBTI診断作りました!」と言って欲しい

ゲスト

「「夢分析」などで有名なカール・ユング」というところで「え?」となりました
『夢分析』はフロイトの著作です
ちなみにフロイトとユングはかつてはもてはやされましたが、科学的根拠はまったくないことから、現在ではほぼ無視されています

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