厄年の生物学的根拠になりそうな研究結果が発表、人間は44歳と60歳で急速に老化が進むと判明!
厄年の生物学的根拠になりそうな研究結果が発表、人間は44歳と60歳で急速に老化が進むと判明! / Credit:Canva
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厄年の生物学的根拠になりそうな研究結果が発表、人間は44歳と60歳で急速に老化が進むと判明! (2/2)

2024.08.20 Tuesday

前ページ老化は「徐々に」ではなく「一気に」?

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老化は44歳と60歳で一気に進む

人間の老化は一気に進むのか?

答えを得るため研究者たちは得られたデータを分析しました。

すると研究対象となった生体分子の実に81%が、44歳と60歳の2つの段階のいずれか、あるいは両方で明確な変化を遂げていることが判明しました。

逆に年齢に伴って徐々に変化していった分子は全体の6.6%に過ぎないこともわかりました。

さらに44歳と60歳を比べると、変化した分子の内容がわずかに違っていることもあきらかになりました。

たとえば44歳の段階では、脂肪・カフェイン・アルコール代謝に関連する分子の変化が起こり、心臓血管疾患、皮膚や筋肉の機能障害が多くみられました。

一方60歳の段階では炭水化物やカフェインの代謝、心臓血管疾患、皮膚と筋肉、免疫、腎臓機能の変化が多くみられました。

最初の老化ピークである40代は女性にとっては閉経前後の時期ですが、研究者たちは「閉経」を老化の主因からは除外しています。

というのも、男性も同じ年齢で生体分子の大きな変化を経験しており、40代での急激な老化は性別を超えた男女共通の現象であると考えられたからです。

以上の結果は、老化は44歳と60歳という2つの段階で急激に進行することを示しています。

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Credit: 東京都江東区鎮座 亀戸浅間神社

男性の本厄は数えで25歳(実年齢26歳)、42歳(実年齢で43歳)、61歳(実年齢で62歳)であり、女性の本厄は数えで19歳(実年齢20歳)、33歳(実年齢34歳)、37歳(実年齢38歳)、61歳(実年齢62歳)とされています。

特に男性においては数えで42歳(実年齢43歳)は大厄として最も注意すべき年であることが知られています。

厄年がこれらの年齢になっている背景には散々な年(33)や死に年(42)のような語呂合わせもあると言われており、必ずしも体調を基準に決定されたとは言えません。

また今回の研究において被験者となった人々はアメリカのカリフォルニア州に住んでいる人々であり、日本人と遺伝的なプロフィールが異なっています。

しかしこれらの中に含まれる男性の43歳と62歳、女性の62歳は、今回の研究で発見された2つの老化のピークである44歳と60歳に非常に近くなっていることは注目できるでしょう。

ただ厄年の意味や概念、考え方は長い歴史のなかで変化しており、その変化には厄年とされる年齢そのものも含まれています。

実際、奈良時代に伝来した仏教書物には厄年は7歳、13歳、33歳、37歳、42歳、49歳、52歳、61歳、73歳、85歳、97歳、105歳と書かれていたとされています。

そういう意味では、古来からの厄年には生物学的な根拠はもともと希薄であると言えます。

しかし現代において他の厄年が排除された一方で、40代や60代が維持されている背景には、急速な老化に伴う体調の変化を、経験的な知識に基づいて取り入れている面があるのかもしれません。

実際、40代や60代は若さの維持という点において経験的にも、微妙なお年頃と言えるからです。

一方、医学的な面からみて今回の研究成果の重要性は計り知れません。

老化が平均して44歳と60歳という2つの時期で急速な進行をするならば、その時期にあわせて老化対策を集中的に行うという戦略がとれるからです。

もしどちらかあるいは両方の年齢において老化の進行を止めることができれば、効率的に老化全体を大きく遅らせることができるでしょう。

たとえば女性において44歳と60歳で起こる老化を止めることができれば、美魔女が実現する……という感じです。

現段階では、抗老化作用のある化学物質がいくつか知られています。

もしこれから44歳と60歳の誕生日を控えているのであれば、その前後の年には体調の変化に気を付けるといいかもしれません。

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