あなたはどっち? 自分の手首で「進化したタイプ」かどうかがわかる

biology 2018/10/13

Point
・人間の体には、人類の祖先がかつて生存のために使っていた能力を物語る機能が数多く残っている
・一部の人ではすでに消失している前腕の長掌筋は、今では使われていない機能の一つだが、人類の祖先が前腕を使って木の間を移動していたことを反映している
・かつての機能は完全に失われたわけではなく、目に見えない程度に出現したり、別の刺激で出現したりするなど、その名残が残っている

両腕を開き、手のひらを上に向けて机の上に載せてみてください。親指の先を小指の先にくっ付けると、手首の真ん中あたりに腱が浮き出ると思います。

もし浮き出なければ、あなたはラッキー。片腕または両腕にこの腱が見られない人は、地球上に10〜15パーセントしか存在しない選ばれし人間の一人です。

人間の体には、もはや現代人が必要としていない機能が存在します。これらの機能は、数千年間の中で消失するほどのリスクを負えなかったために現在でも残っており、自然選択による進化の枠組みとして説明することができます。

Credit: aimy-ss

冒頭の実験で見られた腱は、私たちの多くが持つ長掌筋につながっています。しかし、この筋肉は特に使われておらず、長掌筋を持つ人が持たない人と比べて腕力や握力が強いといったことはありません。実際、長掌筋は重要性が低いので、ほうれい線を消すための美容整形手術などで、顔に移植して使われることもあるほどです。

では、なぜそんな無用の長物が私たちの体に残っているのでしょうか?長掌筋は多くの哺乳類に見られますが、前腕を使って木の間を移動するキツネザルやサルはもっとも発達した長掌筋を持っています。類人猿やヒトは、進化の過程で木登りをすることが減ったために、長掌筋を使わなくなったようです。

別の例は、耳をぴくぴく動かす技にも見ることができます。ウサギやネコといった夜行性の動物は、音の出る場所を特定するために、耳を動かして集音範囲を広げるという特性がありますが、人類の祖先も数千年前は、耳の付け根にある3つの筋肉(前耳介筋、上耳介筋、後耳介筋)を動かして広範囲の音を聞き取っていました。大昔は生きるために必要不可欠だったこの技能ですが、現在では飲み会で披露するネタくらいにしかなりません。

とはいえ、かつて使われていた機能のすべてが、人体から完全に失われたわけではありません。今でも、耳の付け根の筋肉が音に反応することが複数の研究で明らかになっています。耳を動かすほどの強さではないものの、耳が一番効率良く聴こえるように反応しているようなのです。

また、寒い時に立つ鳥肌は、毛穴に隣接した立毛筋が収縮し、体毛が立ち上がることで生じます。体毛がピンと立つことで皮膚表面に突起ができ、日光に当たる表面積が増えて体を温めることができるのです。冬の朝によく目にするふくら雀などはまさにこの例です。これはアドレナリンの働きで生じる現象ですが、このホルモンは寒さだけでなく、敵意や恐怖にも反応してつくられます。体毛を立ち上げることで、敵に対して自分の体を大きく見せ、自分を守ろうとする防衛反応です。こうした「体を温める・体を大きく見せる」という本来の機能が転じて、人間は驚いた時や感動した時にも鳥肌が立つようになったようです。

 

この他にも、親知らず、尾てい骨、赤ちゃんが手足で物を強く握る力など、私たちの体は遠い昔の祖先が持っていた能力を示す「遺跡」にあふれています。もし次に鳥肌が立った時は、遠い祖先に想いを馳せるチャンスかもしれません。

 

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via: sciencealert / translated & text by まりえってぃ

 

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