なぜ「恐ろしい」イメージに?
マンドラゴラの希少価値は分かりました。ですが、「恐ろしい」というイメージはどこからきているのでしょうか?
後藤さん:マンドラゴラが恐れられる要因の1つとして挙げられるのは、根に含まれる毒性です。いわゆる神経毒といわれる効果で、分量を間違えれば死に至りますが、少量であれば「鎮痛」や「麻酔」として使用できます。
人を死に追いやるといわれたり、万能薬といわれたり、真逆な評価をされる理由がこれで分かりました。
では「抜くと悲鳴を上げる」という物騒な伝説は一体どこから…?
後藤さん:遠い昔、マンドラゴラの効能を知った人々によって乱獲された時期がありました。一説によるとそれらから守るため、どこかの商人が恐ろしげな噂を流し、乱獲を防いだといいます。
マンドラゴラのイメージは人間による乱獲を防ぐためだったんですね。納得です。
噂の大元は、自分の利益を守りたいだけのような気がしなくもないですが、マンドラゴラの種を守ったという点では称賛の声を送りたいところです。
それにしても、なぜ「悲鳴」なのでしょうか。マンドラゴラと悲鳴は中々結びつかないように思えますが…
後藤さん:マンドラゴラはナス科の一種なのですが、地面に対して複雑な形で根を張り、引っこ抜くのにはかなり力がいります。その際、「ブチブチッ」と強い音が鳴る。それが悲鳴に聞こえた原因でしょう。
なるほど、理にかなっています。こうして人とマンドラゴラ、両方が“利”を得られるような形で伝説は作られていったのですね。
これで、みんな大好きマンドラゴラの恐ろしいイメージがどうやって確立したのか謎が解けました。後藤さん、ありがとうございました!