花はハチの音が聞こえると、一時的に「蜜を甘くしよう」とがんばることが判明

animals_plants 2019/01/17

Point
■花がハチなどの音を聞いて、一時的に蜜の糖度を増加させていることが分かった
■蜜が甘いほど、花は多くの送粉者を惹きつけられるため、それにより「受粉」といった生殖行動を有利にしていることが考えられる
■ 花びらが構成する「凹状」の形状は、音を反響させやすいための作りであることが考えられる

鳥のさえずりや木々が風になびいて揺れる音ー。

自然界は「音」にあふれていますが、そんな音を聞いているのが動物だけではないことが明らかになりました。新たな研究により、なんと花がハチなどの送粉者の音を聞いて、花の蜜を一時的に甘くしようと努めるていることが分かったのです。

Flowers respond to pollinator sound within minutes by increasing nectar sugar concentration.

https://www.biorxiv.org/content/early/2018/12/28/507319

「低い周波数」で糖度が増加

テルアビブ大学の Lilach Hadany 氏率いる研究チームが研究対象としたのは、マツヨイグサ属に属する「evening primroses (Oenothera drummondii) 」と呼ばれる花。その花は、風の音といったような無関係な音を切り離した上で、特定の周波数を発する「ハチの音」を聞き分けていたのです。

実験において、花は「無音」「4インチ(約10センチメートル)離れた場所からのミツバチの音」「コンピューターによって生成された低い周波数、中程度の周波数、高い周波数の音」といった5タイプの音にさらされました。

その結果、「無音」と「コンピューターによって生成された中程度の周波数、高い周波数の音」では、花の蜜の糖度に大きな増加はみられませんでした。しかし、「ミツバチの音(0.2~0.5キロヘルツ)」と、それに近い周波数である「コンピューターによって生成された低い周波数の音(0.05~1キロヘルツ)」の音を聞いたときに、花には驚くべき変化が表れました。なんと、そうした音を流した3分以内に、もともと「12~17%」であった蜜の糖度が「20%」にまで増加していたのです。

「聴覚」を司るのは「耳」だけではない

蜜が甘くなればなるほど、花は多くの送粉者を惹きつけ、受粉のチャンスを増やすことができます。実際に研究者たちはフィールドワークにおいて、他の送粉者が6分以内に訪れた花には、他の花と比べて9倍以上の送粉者が好んで集まっていることを確認しています。

また、多くの花がボウルのように「凹状」に咲いているのは、音波を受け取り、増幅しやすくするためであると考えられます。それはちょうど、テレビのアンテナが電波をキャッチしやすいように凹状になっていることと同じ原理を利用しているといえます。

その構造の効率性を確認するために、研究チームは「花びら」を1枚~数枚取り除くといったテストをおこなっています。その結果、花びらを失った花は、低周波の音をうまく反響させることができませんでした。

研究チームの一員である Marine Veits 氏は、この「花の聴覚」のメカニズムについて、より詳細な研究を進めていきたいと語っています。それはたとえば、どのような分子や機械的なプロセスがそこに作用しているのか、などといったものです。

Veits 氏は、「どうやって植物が『聞く』ことや『匂う』ことができるの?と思う人もいるでしょう。そんな人々に、『聞く』という行為は『耳』によってのみ行われるわけではないことを知ってほしいと考えています」と語っています。彼女はこの研究が、「世界の認識は、トラディショナルな感覚器官によってのみ行われる行為ではないことを証明する研究になってほしい」と願っているのです。

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reference: nationalgeographic / written by なかしー

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