そもそも「共感能力」って何? 「5段階の欲求」がその発現条件

psychology 2019/02/02

「共感」の正体

「共感」という単語の意味は難しく、一言で説明できるようなものではありません。「利他主義」と同様に考える人もいますが、それでは「共感」の表面的な部分しかなぞることができていません。文脈によっても意味を異にするその単語ですが、臨床心理士や心理カウンセラーは「共感的」な人間のコアにある「3つの特徴」について指摘します。

1. 体験を共有できる能力

2. 他者が感じていることを直観、あるいは理解する能力

3. 他者の悩みに情け深く「社会的な利益」を意図して反応できる能力

「共感」については心理学の分野のみならず、社会学や生物学、神経科学に関する分野などにおいて、幅広く議論されてきました。一般的には、狩猟採集時代の人類が他の体の大きな動物に勝つためにこの「共感能力」を利用したことがよく知られています。

こうした学際的な研究は、以下の「2つの問い」に答えることを目的としたものです。

1. どのようにして他者の「考え」や「感情」を理解するのか

2. 何が私たちを「社会的な行動」へと導くのか

では、このような問いに対する答えはあるのでしょうか。

「共感」に関する様々な研究

共感には、「目」が大きな役割を果たしているという説があります。発達した「心の理論」を持つ私たち人間にとって、他者が「どこを見つめているのか」とったことは社会的な知性を育む上で重要です。他の動物は同じ種の行動を観察するとき、目ではなく「頭全体」の動きを見ています。

また、「進化」といった観点から共感をみたとき、人間が利他的な行動を発展させてきたのは、そこに共感から生まれる社会的な利益があったからに他なりません。共感の生物学的なインスタンス化は、生物がは虫類から哺乳類へと進化する過程において現れています。共感は現在、「皮質」を含む脳の複雑な構造と関連していると考えられています。

さらに、共感を「ミラーニューロンシステム」と結びつけて考える説もあります。このシステムが初めて脳内で確認されたのは「マカクザル」であり、他の個体の行動を見るだけで、自身の脳内の活動電位を発生させるといったものを指します。人間についても同様のシステムが存在し、これが「共感」において多くな役割を果たすものであると考えられているのです。

いずれにせよ、人間の中には共感力が高い人もいれば低い人もいます。これは、共感が「有限」のリソースであることを示しており、マズローのいう「5段階の欲求(生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求)」が満たせない場合は、より広い範囲への共感能力の獲得が難しくなる可能性があります。アフリカの飢餓に苦しむ子どもが、気候変動に対して大きな関心を寄せないことは無理もありません。

逆に、それらすべてが十分に満たされている人ほど強い利他主義的な共感を示すことができます。地球上で最も豊かな「大富豪」の1人であるビル・ゲイツが慈善活動に力を入れているのも、彼がすでに欲求を満たすことができているからであるともいえるでしょう。

国家にも「共感力」は必要である

とはいえ、共感能力は「鍛える」こともできます。ある小学校では、共感能力を向上させるためのシステマチックな取り組みとして、カリキュラムにストーリーテリング(何かの説明に物語を用いる)や動画作成、グループディスカッションを取り入れています。

結果として、子どもたちの攻撃性が減少したり、ポジティブな社会的行動が取り組み以前より増えていることが確認されています。同様のカリキュラムは中等教育で取り入れられた例もあり、そこでは生徒のみならず、教師に対してもポジティブな成果があらわれています。

人間の「共感能力」は、人間の集合体である「国家」においても観察することができます。アメリカにおいて気候変動に対する取り組みは盛んではありませんが、この問題は党だけでなく国境を超えた問題であり、関心を持つためにはより強い共感能力が必要となります。しかしアメリカ政府、少なくとも共和党の最優先事項は今現在「国防」であることが見てとれます。

つまり、アメリカはマズローの5段階欲求で示すところの「安全の欲求」を満たそうと必死なのです。逆に、たとえばスウェーデンなどの国家は多くのリソースを国防に割く必要がないため、環境保護など党派を超えた取り組みに目を向けやすくなります。

 

自分の経験のみを頼って相手の考えを推論して決めつけてしまうことは、共感とは呼べません。そうした「思い過ごし」をなくし、できるだけ広い範囲への共感を示すためには、まず私たちは「自分の欲求」を満たしていくことが大事なのかもしれません。

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reference: medium / written by なかしー

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