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あえて「恐怖体験」を欲する人の脳は風変わり? (2/2)

2021.01.27 Wednesday

2019.03.05 Tuesday

前ページ人間に生まれつき備わっている恐怖

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恐怖に対する脳の反応

それでは、「恐怖」に直面したとき、人の脳はどのように反応するのでしょうか。

まずもって、私たちの脳は、個々に別れた2つのルートの組み合わせで働きます。1つは、「感覚的ルート」で、扁桃体という感覚系の脳領域で起こるものです。その領域内に、目や耳で知覚したものに反応して「恐怖」感覚のシグナルが出されます。すると、心拍数の上昇や発汗作用の活発化が促されるのです。

それとほぼ同時に、2つ目の「合理的ルート」である大脳皮質の上部で、知覚したものが「危険であるか否か」の判断を行います。つまり、「このヘビは毒性がないから安全だ」などというように、合理的に解釈をするのです。

「恐怖」の感情は、この2ルートの作用で生じ、アメリカにあるパデュー大学のグレン・スパークス教授の研究では、恐怖を求める人の方が、「合理的ルート」の働きが活発であることが判明しています。

恐怖を求める人の脳内では、報酬系をコントロールする「ドーパミン」が多く発生します。いわゆる「アドレナリン」が人よりも多く分泌されるので、さらにホラー映画や絶叫マシーンを好むようになるのです。

そして、スパークス教授は「スリル体験が積み重ねられる程、人は恐怖感情に慣れていき、合理的な解釈をほどこすようになる」と指摘します。そこでまた、スリルを求める行為は過激化していくのです。

このように「恐怖」には、慣れることも可能ですが、「恐がる」ことは、人間の生存にとって必要不可欠であります。天敵や自然災害など、命を脅かす危険性のあるものを識別する「適応行動」として、重要な能力なのです。

なぜ笑顔が「怖い」と感じることがあるのか?

reference: edition.cnn / written & text by くらのすけ

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