「一番聞きたい声」が聞こえる補聴器が開発される

technology 2019/05/16
Credit: depositphotos

Point

■脳波を読み取り、自動的に聞きたい音を増幅させられる補聴器が開発された

■これまでの補聴器ではすべての音を拾ってしまうため、耳の不自由な人は特に騒がしい場所で会話に加わることに苦労してきた

■現在のバージョンでは、補聴器を脳に直接埋め込む必要があるため、実用化にはさらなるバージョンアップが必要となる

未来な補聴器の誕生だ。

装着者の脳波を読み取って、特定の音にだけにフォーカスすることができる補聴器が開発された。これにより、耳が不自由な人が騒がしい場所で受けるストレスが軽減できるかもしれない。

Speaker-independent auditory attention decoding without access to clean speech sources

https://advances.sciencemag.org/content/5/5/eaav6134

カクテルパーティー効果を再現

人はあらゆる音の中から1つの音を聞き分け、脳内でその音量を増幅させる機能を持っている。驚くべきことにこのデバイスには、その機能が搭載されているのだ。

これまでに開発された最も高性能な補聴器であっても、すべての音を一気に拾うことしかできなかったため、装着者は特にざわついた場所では不協和音に耐えなければならなかった。

Credit: theguardian

研究を率いたニューヨーク・コロンビア大学のNima Mesgarani氏は、「音を処理する脳のエリアは非常に敏感でパワフルです。そこでは自然に他の音の中から1つの音を増幅させており、この機能と比べると今日の補聴器の性能は劣っているといえます」と語っている。

そのため、これまで耳の不自由な人は会話に加わることが難しかった。特に、忙しく早口な会話が続く社会的なシチュエーションでは尚更だ。

よって、多くの音の中から自分が聞きたい音を無意識にピックアップする「カクテルパーティー効果」を、科学者は補聴器で再現することに挑戦し続けてきたのだ。

さらなるバージョンアップは必須

この新しい補聴器なら、その挑戦は終わりを迎えられるかもしれない。AIと装着者の脳の活動を読み取るようにデザインされたセンサーとのコンビが、人為的にカクテルパーティー効果を生み出せることが分かったのだ。

このデバイスは複数の音に対する、装着者の脳波の反応を比較できる。そして、その脳波に最もマッチする声のパターンを発している話者の声を自動的に増幅するのだ。

Credit: pixabay

科学者たちは、この補聴器の初期バージョンをすでに2017年に開発していたが、それはあらかじめ認識された声しか聞き分けられないものであった。その点が改善され、初めて聞く声も聞き分けられるようになったのが今回のデバイスだ。

現在のバージョンでは、この補聴器は脳に直接埋め込まなければならず、そこが難点となる。しかし研究チームは、5年以内には患者の体を切開せずに済む方法を編み出せると考えているようだ。より装着しやすいデバイスが期待される。

脳内の考えを直接音声へ変換することに成功!

reference: theguardian / written by なかしー

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