新定義には日本も大きく貢献!
1999年にNASAが国際基準のメートル法を使わずポンド・ヤード法で図面を描いてしまったせいで、100億円以上かけた火星探査機計画を駄目にしてしまったというニュースがあるが、単位が厳密に揃っていないと大きな問題につながる恐れがある。
NASAの例はそもそも基準にする単位系を誤ったという話だが、同じメートル法を使っていたとしても、ナノテクノロジーなど高精度を要求する分野では、厳密に単位が定義されていなければ、いずれこのニュースと同じような問題が発生する恐れがある。
今回のキログラムの定義改定は、そんな精密な現代科学に合わせて実施されたものだ。
この新定義のために、プランク定数の厳密な測定が行われたが、これには世界で計測された非常に精度の高い8つの計測データが使われている。その内、4つのデータに日本が大きく貢献している。
誇らしいお話だが、このキログラム再定義のプロジェクトに日本が参加するには、色々と苦労があったようだ。
ドイツは人類の崇高なミッションとして、アメリカは安全保障上の観点で当然とすぐ参加を決めたが、日本は短期的な利益を求めがちなため、産総研の科学者たちはプロジェクトの開始にあたり、まずなぜ定義の改定が必要か、経産省を説得するところから始めたそうだ。
技術力はあるのに日本、そういうところやぞ…。
しかし、これまで国際単位の場には欧米諸国しか参加することができず、国際単位の定義にアジアの国が名を刻んだのは日本が初めてだ。
科学における歴史的な瞬間に、これからも日本が関わっていく機会が増えていったらいいなあ。