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赤ちゃんを生きたまま食らうハムスターの母親、原因は身近なものに…

2021.01.27 Wednesday

2019.08.03 Saturday

Credit: pixabay

Point

■フランス北東部の地域で、ハムスターが共食いをするおぞましい例が報告されている

■偏食によってビタミンB3が不足したことが異常行動の原因であるとされる

■偏食のきっかけとなったのは人間による農地拡大であり、人間こそがこの事態の大きな責任を負っている

人間同様、ハムスターもビタミンB3不足に悩まされているようです。

一般的に、野生のハムスターは共食いをする動物ではありません。しかし研究者たちはフランス北東部の地域において、「ハムスターの母親が生まれた赤ちゃんを生きたまま食らう」ケースがあることを明らかにしました。

研究は2017年の「Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences」に掲載されている。

Diets derived from maize monoculture cause maternal infanticides in the endangered European hamster due to a vitamin B3 deficiency

https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2016.2168

原因は人間による農地拡大

可愛い顔をしたハムスターからは想像もできない所業ですが、 研究者らはその原因がハムスターの「食糧」、特にトウモロコシがハムスターを共食いに走らせていたことを発見しました。

かつてその地域に生息していたハムスターは、穀物、植物の地下茎、昆虫などを食していました。しかし大規模な工業型農業が地域を席巻し始めると、トウモロコシ以外の食糧がハムスターに残らなくなったのです。

Credit: pixabay

こうして、主にトウモロコシのみで飢えをしのぐ運命となったハムスターたちですが、トウモロコシには重要な栄養素が不足していました。それはビタミンB3、すなわちナイアシンです。

ビタミンB3の不足は、ペラグラと呼ばれる症状を引き起こすものであり、ペラグラは認知症の原因になるとされています。

さらに、未調理のトウモロコシをベースとした食事と、人間の暴力的な行動を関連付ける報告もあります。そうした行動の中には、殺人や自殺、そしてカニバリズム(食人)が含まれているのです。

つまり、人間においてみられたトウモロコシが原因のそうした傾向が、ハムスターにも現出したことが考えられます。

次ページ世にも恐ろしい「ビタミンB3不足」

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