微生物で土壌が分子レベルで変化! 地震による液状化を防ぐ技術

chemistry 2019/10/20
1964年新潟地震による液状化で傾く県営住宅/Credit:Magnus Manske/Wikipedia

Point

■液状化現象は水の多い砂質地盤が、地震などの振動により液体状に変化する現象で、世界中に被害報告が存在する

■この液状化現象を、微生物を使って土壌を分子レベルで変化させることで防ごうとする試みが進められている

■これは土壌に注入した微生物の作るガスにより土の不飽和化を実現する方法で、既に建物のある土地を掘り返すこともなく強化できる

土地の液状化は、地震の際に大きな被害をもたらします。

この液状化現象は、日本に限らずサンフランシスコやインドネシア地震でも大きな被害を起こしており、その対策について研究が進められています。

そんな中、微生物を使って土壌の分子構造自体を変化させ液状化への耐性を付けてしまおうという壮大な構想が発表されました。

この技法は、現在ポーランド大学、米アリゾナ大学の研究チームにより、技術研究が進められているものです。

Center for Bio-mediated & Bio-inspired Geotechnics
https://cbbg.engineering.asu.edu/

液状化現象ってなに?

地面の液状化現象は、耳にすることはあっても詳しい仕組みを知らない人は多いでしょう。

これは同じ成分、同じ大きさの砂で構成された土に地下水が満たされている場合に発生しやすい現象です。

通常砂地盤は、それぞれの砂の粒子が結びついて支え合っています。これが地震の振動により、それぞれの砂粒子の結びつきが解けてしまい、砂粒子が地下水の中に浮いたような状態になると、液体状になって地上に様々な被害をもたらすのです。

地面が液状化すると、建物のような比重の重いものは地面に沈み込んで傾いてしまい、水道管やマンホールなど比重の軽いものは逆に地面の上に浮かび上がってしまうのです。

Credit:2015 BUREAU OF URBAN DEVELOPMENT TOKYO METROPOLITAN GOVERNMENT

現在この液状化に対する有効な対策は、土壌の不飽和化という方法です。

これは土壌に空気を注入することで、砂地盤にエアポケットを作り、振動によって砂粒子の間に水が浸透する状態を防ぎ、砂同士が噛み合った状態を維持させるというものです。これは安価で簡単な設備で実現可能で、地盤の液状化に対する耐性だけを向上させるため、有望な方法とされています。

ただ、状態を持続させるという部分には問題点も残っています。

微生物を使って地面に空気を混ぜる

今回提案されている方法は、微生物を使って地面に空気を混ぜ、土壌の不飽和化を行うというものです。

この方法では土壌に肥料を与え、栄養素を浸透させることで脱窒菌を増殖させ、その代謝によって発生したガスで土壌の不飽和化を行うというものです。

この細菌は自然の土壌にも存在するもので、代謝する過程で発生するガスは窒素や二酸化炭素などの大気中に当たり前に存在するものです。

この作用によって、パン生地のイースト菌のように、土壌中にエアポケットが生まれ土壌に空気を注入する方法と同様の効果が得られるのです。

この不飽和化は従来の方法より20倍は安価に実現することができ、しかも長期間土壌の不飽和状態を維持できると考えられています。

ただ、不飽和化の持続や、作られたエアポケットの強度については、長期間のモニタリングを行わなければ明らかにすることはできません。

そのため、この研究チームは、テキサス大学オースティン校でT-Rexと呼ばれる地面に振動を与える巨大シェーカーを使って土壌の強度を測るテストを行っています。

地震実験用トラック「T-Rex」。Credit:The University of Texas at Austin 2019

この研究では、この夏にパイロットテストを行い、これが有望な結果ならば5年を掛けて本格的な長期モニタリング試験を実行するといいます。

肥料を撒くだけで液状化現象が防げるとは、日本としても期待したい研究です。

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reference:vice,東京都都市整備局/ written by KAIN

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