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自然の力で解決!クモの糸と木の繊維で作られた新素材が次世代のプラスチックに?

2024.06.26 Wednesday

2019.09.22 Sunday

Credit: Eeva Suorlahti by Aalto University

Point

■木のセルロース繊維と、クモの糸に含まれるシルクタンパク質を掛け合わせることで、新素材の開発に成功

■丈夫さと弾力性を兼ね備え、プラスチックに代わる材料として医療・織物・包装などの他分野で活用可能

■生分解性があるため、マイクロプラスチックがもたらすような自然破壊に繋がらない

強度と伸展性の両立は、材料工学の分野における大きな課題の1つです。通常、強度が増せば伸展性は失われ、伸展性を求めるほどに強度は損なわれるからです。

アールト大学(フィンランド)とVTTフィンランド技術研究センター社の研究チームが、自然からあるインスピレーションを得てこの難題の解決に成功しました。用いられたのは、木のセルロース繊維と、クモの糸に含まれるシルクタンパク質です。

丈夫さと弾力性を兼ね備えたこの材料は、将来的にプラスチックに代わる素材として、医療器具や外科手術用のファイバーとしてだけでなく、織物や包装の材料としても活用が期待できます。

論文は、雑誌「Science Advances」に掲載されています。

Biomimetic composites with enhanced toughening using silk-inspired triblock proteins and aligned nanocellulose reinforcements
https://advances.sciencemag.org/content/5/9/eaaw2541

セルロースの網目にスパイダーシルク粘性マトリックスを浸透

セルロースとシルクの長所は、プラスチックと違って生分解性があるため、マイクロプラスチックがもたらすような自然破壊に繋がらないことです。

Credit: Pezhman Mohammadi1, A. Sesilja Aranko, Christopher P. Landowski, Olli Ikkala, Kristaps Jaudzems, Wolfgang Wagermaier and Markus B. Linder/Science Advances

研究チームは、カバノキのパルプをセルロースナノフィブリル(ナノ繊維状構造をもつ物質)に分解し、硬い土台の上に並べ、セルロースの網目を作りました。そこへ、柔軟性に富み、散逸エネルギーを持つスパイダーシルク粘性マトリックスを浸透させることで、強度と伸展性が共存する新素材が誕生しました。

次ページDNA構造を複製して作ったシルクタンパク質分子

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