木星に出現した巨大な「黒い穴」、どうやって出来たの?

space 2019/10/04
Credit:NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Image processing by Kevin M. Gill

Point

■木星に落ちる衛星イオの影を、探査機ジュノーが撮影

■イオは地球の月より若干大きいサイズで、この影の幅は3600キロメートルあり、イオとほぼ同サイズの影

■ジュノーの撮影画像はオンライン上にアップロードされており、有志による画像処理で鮮明化されている。今回の画像もアマチュア科学者によって強調されたカラーイメージだ

非常に珍しい「木星に流星が衝突する瞬間」をアマチュア天文写真家が激写!

11日にNASA(米航空宇宙局)の探査機ジュノーによって撮影された、木星の「巨大な円(※別サイトへ)」が話題になっています。

まるで木星に巨大な穴が空いてしまったような不思議な画像ですが、この正体は、衛星イオが食によって惑星に落とした影なんです。

イオは公転周期が短く、木星の軸には傾きがほとんどないため、木星の表面には1年を通じて定期的にこうした衛星の影ができます。

影の幅は約3600キロメートもあり、日本の本州約1500キロメートルの倍以上の大きさです。そんな大きな影が惑星にできるとは、木星は本当にスケールが違います。

この画像は、現在NASA探査機ジュノーの特設サイト上で公開されています。

灼熱の衛星イオ

イオは木星の代表的な4つの衛星の中で、もっとも内側の軌道を回る衛星です。1.77日(約1日と18時間30分)で惑星を一周するのでかなりの高速回転をしています。

Credit:Wikipedia Commons/Matma Rex

また、木星に近いために、木星の強力な重力の影響を受けてグニャグニャと楕円に揉まれている様な状態で、その影響で非常に高い熱が発生しています。これを潮汐加熱といいます。

下は地球と月の場合の図ですが、こうした潮汐の影響は、衛星内部に熱を持たせ地殻活動を活発にします。イオは太陽系でももっとも地質学的に活発な天体で、非常に多くの活火山を持っている灼熱の衛星です

潮汐による衛星への影響。/Credit:国立天文台

木星は惑星の軸にほとんど傾きがないので、衛星の公転軌道も太陽に対してほぼ水平を保っています。そのため、木星に近いイオは惑星表面に食の影を落としやすい状態になっているのです

ちなみに地球の場合は軸の傾きがあるので、月の公転はグラグラと歪んだように変動してしまいます。

月の公転運動 / Credit:国立天文台

木星探査機ジュノー

木星探査機ジュノー。/Credit:NASA/JPL

ジュノーは木星の起源や、内部構造、大気組成、磁気圏など木星の調査を行うため打ち上げられた探査機です。

ジュノーは既に3年以上にわたって木星を周回しており、53日ごとに接近して近傍の撮影や調査を行っています。今回撮影された映像は22回目の木星上空通過時のものです

木星は非常に巨大なため、太陽の影に入ってしまうとジュノーの太陽光発電が長時間できなくなり、バッテリーが尽きてしまいます。また、木星は非常に強力な磁場を持ち、飛び交う荷電粒子による放射線帯も避けなければなりません。そのため、ジュノーは非常にテクニカルな楕円軌道を描いて木星を周回しています。

過去に木星を調査したパイオニア11号はこの放射線帯に入ってしまったため、撮影画像データの多くをロストしてしまいました。

探査機ジュノーの木星周回軌道。木星の左右に広がるのは放射線帯。/Credit:NASA / JPL

こうした様々な苦労を経て撮影された木星画像ですが、ほとんどは未加工でオンライン上にアップロードされた状態になっています。

色を強調した鮮明な木星の画像は、有志によってオンライン上のデータを画像処理してもらい公開されています。今回の木星に穴の空いたようなイオの影は、市民科学者(アマチュア学者)のKevin M. Gill氏によって作成されたものです。

興味のある人は、NASAのジュノーミッションサイトにある「JunoCam」コミュニティから画像処理に挑戦してみてはいかがでしょうか。

謎の変化が…? 最新の木星画像をハッブル宇宙望遠鏡が撮影

これがあればOK! 木星のガリレオ衛星が見られる双眼鏡スペックと機材を紹介

reference:NASA,space.com/ written by KAIN

SHARE

TAG

spaceの関連記事

RELATED ARTICLE