2大「変光星」は秋冬が絶好の観測チャンス!都会での見つけ方も教えるよ

report 2019/11/16

星を見ていると、いろいろな明るさがありますよね。

星は目で見える最も明るいものから暗いものまで、1等星~6等星で分類されます。紀元前150年頃にギリシャの天文学者ヒッパルコスがはじめたそう。現代の星座早見盤を見ても、どの星が何等星かわかるようになっていますよね。

でも、日によって明るさが変わる星があるんです。

これは「変光星」と呼ばれ、そのなかでも代表的な2つの星が、見頃を迎えているのでご紹介します。また、星が見えにくい都内で星空案内人®を行っている経験から、簡単に探す方法もお教えします。

変光星、その名はアルゴル

変光星で有名なものといえば、「アルゴル」です。

秋を代表する星座の1つであるペルセウス座にあり、今の時期だと20時には高く昇り、観察しやすくなっています。

アルゴルの名前の由来は、アラビア語の「ラス・アルグル」から。意味は「悪魔の頭」です。

ペルセウス座 credit: depositphotos

ペルセウス座はギリシャ神話の登場人物、ペルセウスという英雄が描かれています。

神話においてペルセウスは、髪の毛が蛇でできていて、目を見たものを石に変えてしまう怪物メドゥーサを退治するのですが、アルゴルはちょうどペルセウスが持っているメドゥーサの頭に位置します。まさに、悪魔の頭というわけですね。

ちなみに、メドゥーサは三姉妹で、総称がゴルゴーンなのですが、メドゥーサ自体をゴルゴーンと呼ぶこともありますよ。

ペルセウス座とアルゴルの探し方

アルゴルは肉眼で見えるものの、都会の空は明るすぎて「星座の形」で星を結ぶことはできません。東京23区内だと1等星と2等星が普通に見える星、天候が良いときに何とか3等星が見える程度で、星座観察には超ハードモードな環境です。

ペルセウス座は一般的に秋の星座の中心的な存在、「ぺガススの四辺形」からアンドロメダ座をたどって探すのがセオリーとなっています。でも、都会ではかなり難しいと思うんです。

「ペガススの四辺形」は、翼の生えた馬、ペガサス座の胴体にあたる四角形の星並びとなります。

Credit: Bob Moler’s Ephemeris Blog 右からペガスス座、アンドロメダ座、ペルセウス座。先ほどのイラストとペルセウスの絵が異なるが、こうでないといけない決まりはない。

夏の星座や冬の星座は、「夏の大三角」「冬の大三角」が目印となります。ところが、明るい1等星だけで構成されるそれらと異なり、「ペガススの四辺形」を構成する3つの星は2等星で、1つは3等星

しかも、「ペガススの四辺形」は「夏の大三角」や「冬の大三角」よりも小さいです。そのうえ、三角形よりも四角形のほうが、昇りかけと天頂にあるときと、沈みかけのときで形が違って見えます

さらに月の近くにあると明るすぎて3等星が見えにくく、四角形に見えないことも。

カシオペヤ座から探す効率的な方法

そこで筆者の場合、カシオペヤ座とぎょしゃ座の1等星、カペラを目印にしています。

カシオペヤ座は秋だと北の空の高い位置に見え、アルファベットの「W」に似た特徴的な星並びを持っています。まず間違える人はいないでしょう。

北東のほうを向くと、カシオペヤ座の「W」の端にある一番暗い星の隣に「ルクバー」という星があるので、右方向に見ていきます(南の方角に向かう)。

今の時期は20時頃には冬を代表する星座のひとつ、ぎょしゃ座の1等星、カペラが東の空に明るく昇ってきています。そこで、カペラの真上に向かって見ていくと、アルゴルがあります。

Credit: ofugutan 図示しやすいよう、明るさを調整しています。

筆者の住んでいる東京23区内だと、実際はこんな感じにしか見えません。

Credit: ofugutan 左上にカシオペヤ、右下の明るい星がカペラ。中央右寄りに斜めに2つ明るめの星が並んでいます。

カシオペヤ座の右のほうからカペラの上のほうを見ていると、斜めに2つ並ぶ星があるな…と把握できればOKです。カシオペヤ座寄りの左がペルセウス座のα星(もっとも明るい星)ミルファクで、右がアルゴルです。

Credit: Medium.com 都会だと、「ミルファク」と「アルゴル」しか明るさ的に見えないと思います。

11月14日現在、20時頃は西のほうに夏の星座、南~天頂に秋の星座、東の空に冬の星座がのぼってきています。秋の星座は暗い星ばかりなので、西から東へ見渡した際、暗い秋のゾーンを超えて東に輝くカペラは目立つので良い目印になります。

変光する様子を観察してみた

アルゴルの観察を行い、写真をとってみました。

今年は天気が悪い日が多かったので、明るい2等星のときは10月に撮影し、暗くなった3等星のときを観察できたのは、1カ月後。1カ月後に1カ月前と同じ星空を見るには、前に観察した時刻の2時間前になるので、それにあわせて観察しています。

明るい2等星のときは上にある、アンドロメダ座の2等星アルマクと、左下にあるペルセウス座の2等星ミルファクと、大きな明るさの差はありません。

Credit: ofugutan

それらの2つの星よりも、暗くなっています。見えにくいな…と実感できるくらい。

Credit: ofugutan 撮影チャンスを1カ月うかがっていたので、「あ!暗くなってる」と嬉しかったです。

アルゴルはなぜ明るさが変わるの?

アルゴルは、だいたい2.87日の周期で、2.12~3.39等星の範囲を変光すると言われています。3日ほどで変光するのでチャンスが多いうえに、2等星から3等星は肉眼でもわかるので、観測には打ってつけです。

星の明るさはなぜ変わるのでしょうか。実は変光のタイプは複数あり、アルゴルは「食変光星」というタイプ。メインとなる星(主星)の外側をサブとなる星(伴星)が周っています。地球から見て主星の前面を伴星が通りかかると光が遮られ、明るさが低下して暗く見えます。伴星が再び通り過ぎると、もとの明るさに戻るということです。

17日にくじら座のミラが極大に。変光を見逃すな

変光星というと、もうひとつ注目したい星が、くじら座にあります。くじら座というと、電波望遠鏡で宇宙人を探すさきがけとなった、「オズマ計画」で聞いたことがある人もいるかもしれません。

くじら座にはミラという星があり、11月17日に明るさが極大になると言われています。変光星として初めて発見された星です。「ミラ」は「不思議なもの」という意味があり、発見したときの驚きがうかがえますね。

秋の星座は、まるで物語絵巻のようになっていて、ペルセウス座と、その周辺にあるペガスス座、アンドロメダ座、カシオペヤ座、ケフェウス座、そしてくじら座は、1つの神話に登場します。

Credit: Bob Moler’s Ephemeris Blog下に描かれているのがくじら座。化け物くじらなので、本物とはかけ離れた姿。

ケフェウス王の妻、カシオペヤ王妃が自分と娘のアンドロメダは海の妖精よりも美しいと傲慢なことを言ったために、海の神ポセイドンの怒りを買い、化け物くじらが海に放たれました。怒りを鎮めるためにアンドロメダはいけにえにされ、鎖につながれてしまいます。

化け物くじらに襲われるというときに、ちょうどメドゥーサを倒した帰りのペルセウスが天馬ペガススにまたがって通りかかり、救出するという神話です。

Credit: ofugutan ペルセウスはメドゥーサの首を化け物くじらに見せ、石化させます。

ミラの変光の仕組みはアルゴルと違う

くじら座の変光星、ミラはくじらの心臓のあたりに位置します。アルゴルと異なり、2.0等星と10.1等星の間を約332日の周期で変光します。等級から考えると、肉眼で見えたり見えなくなったりするわけですね。

ミラは脈動変光星というタイプの変光星で、アルゴルとは変光する仕組みが異なります。星自体が収縮を繰り返すことで明るさが変わるのですが、星がもっとも収縮したときに高温となり、明るさが極大になります。

変光の周期が約1年で長いのですが、今回は極大のタイミングがちょうど観測しやすい秋となり、チャンスです。

くじら座とミラの探し方

都内では肉眼で星座の形を把握するのは無理でしょう。そこで、目印となるのが2等星「デネブカイトス」です。

国立天文台のサイトでは、秋の四辺形を構成する星のひとつ、「ディフダ」のある一辺をそのまま南に引っ張って探す方法が書かれています。

国立天文台©

ただ、秋の南の空の低いところに1つ輝く1等星、みなみのうお座のフォーマルハウトから、東に向かって真横にみていくと、少し上のあたりでポツンと2等星が発見できると思います。周りに明るい星がなく、11月15日の21時頃は真南にあるため、発見は難しくありません。

このときペルセウス座を正面に見ると、右下に明るい赤い星が見えます。冬の星座を代表するおうし座の1等星、アルデバランです。このアルデバランとデネブカイトスを結んだ線の中央あたりにミラがあります。

余談ですが、白鳥座の尻尾にあたる位置に「デネブ」という星がありますが、「デネブ」はお尻という意味。デネブカイトスもくじらの下半身部分、お尻の位置にあります。

ほかには、春の大三角を構成する星で知られる、しし座の2等星「デネボラ」もライオンのお尻の位置にあります。実は、「デネブ」とつく星は、複数の星座に存在します。「おしり星シリーズ」と、まとめて覚えやすいですよ。

観測と撮影をしてみた

デネブカイトスにカメラを向け、写真をとってみたところ、肉眼ではわからなかったくじら座の全容が見えてきました(サーチライトの光が少々邪魔ですが)。

Credit: ofugutan 右下にある明るい星がデネブカイトス。先ほどの国立天文台の画像から、ミラを探してみよう。

都会で明るすぎて星が見えない場合は、このようにシャッター速度やISOを調節して、カメラに目の代わりになってもらうのは、ひとつの手かもしれません。

しかし撮影した11月5日の時点では、ミラは肉眼で見えるような明るさになっていませんでし、13日にも肉眼ではわかりませんでした。

極大予定日が17日といえど、ピッタリの日になるわけではなく、数日から数週間ずれるのも珍しくないそう。また、そのときどきで明るさも安定しているわけではないので、2等星まで明るくなるときもあれば、4等星でとどまるときもあるそうです。

ただ、うまくいけば化け物クジラの心臓に出現する怪しく赤い星は、印象的に目に映るのではないでしょうか。双眼鏡を用意しておくと、より良いですね。

なお、17日の観測は、20時頃が狙い目です。月が昇る前なので月明りに邪魔されず、くじら座も探しやすい位置にあります。まだ極大になっていない場合、月の出がだんだん遅くなり、観測条件は日ごとに良くなるので、気長に楽しみましょう。

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Reference: Medium.com, Bob Moler’s Ephemeris Blog(1, 2), 国立天文台 / written by ofugutan

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