研究室にいながらフィールドワーク可能な「カエル電話」が開発される

science_technology 2019/12/10
Credit:depositphotos
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  • 観測値に設置して、カエルの鳴き声を遠隔で収集できる装置「FrogPhone(カエル電話)」が開発される
  • 携帯電話の基本システムを模倣しており、遠隔から電話をかけることで、音声集音から気温・水温調査まで行う

生物の活発さは、その生態系の健康状態を示すマーカーとなります。

特に、カエルの鳴き声は健康指標として広く活用されており、フィールドワークに欠かせないツールです。

しかしながら、現場での音響モニタリングは、往復や調査にかかる時間やコストが高くつき、観測回数もかなり制限されます。これが遠隔地ともなると尚更です。

そこで、この問題を解決するため、オーストラリアのキャンベラ大学およびニューサウス・ウェールズ大学は、「FrogPhone(カエル電話)」と呼ばれる一風変わった観測装置を開発しました。

一体、どんなメリットを持っているのでしょうか。

研究の詳細は、12月4日付けで「Methods in Ecology and Evolution」に掲載されています。

The FrogPhone: A novel device for real‐time frog call monitoring
https://besjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/2041-210X.13332

電話一本でデータ収集⁈

FrogPhoneは、世界初となるソーラーパワー式の遠隔観測器であり、電話一本で音響モニタリングを開始してくれます。

観測地に設置するだけで、あとは研究室にいながら、いつでも調査ができるというわけです。

カエル電話/Credit: Kumudu Munasinghe

FrogPhoneのシステムは、基本的に携帯電話に則っています。3G/4Gのネットワークに対応しており、電波到達範囲なら、利用者自身の電話を使って、どこからでもでコール可能です。

FrogPhoneは、コールから3秒後に着信を受け入れます。機能も豊富で、音声録音からビデオ通話、温度探知機による水温・気温の測定、データの送受信など、多岐にわたります。

コール後の3秒は、これらの機能を起動させ、モニタリングを開始するのに必要な時間です。

Credit: Kumudu Munasinghe

研究主任のエイドリアン・ガリド・サンチス氏は「高性能マイクを搭載したFrogPhoneは、設置場所から半径100〜150mにわたり、カエルの鳴き声をクリアに集音できます。

また、データ保存が可能なので、カエルの最も活発な夜間の鳴き声を自動で録音しておき、後からじっくりと分析することも可能になる。もちろんカエル以外の鳴き声も録音されるでしょう」と説明します。

3G/4Gでカバー仕切れないエリアにおいては、将来的に衛星通信と連携させることで利用できるそうです。

Credit: Marta Yebra Alvarez

さらに、FrogPhoneは防水対応となっているため、草木の多い場所では、湖の中央に設置して、太陽光へのアクセスを最大化します。

研究チームのアンケ・マリア・ホーファー氏は「FrogPhoneを使えば、現地調査に伴うコストやリスクを大幅に削減することができます。こうしたメリットは、観測値への距離が遠隔になったり、アクセスが困難な場所ほど大きくなるでしょう」と指摘します。

FrogPhoneは、これから実用段階に入る予定とのことです。

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reference: techexploristphys.org / written by くらのすけ

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