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人類は「不安・うつ症状」を抱きやすいように進化してきたのかもしれない (2/2)

2021.01.27 Wednesday

2019.12.11 Wednesday

前ページヒトにだけ見られる遺伝子変化

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神経伝達物質の取り込みが落ちている

こうした先行研究を踏まえ、東北大学の研究チームは、人類進化の中でヒトとチンパンジーの共通祖先から誕生した可能性のある5つの「VMAT1タンパク質」を再現。それぞれが持つ神経伝達物質の取り込み能力を測定・比較しました。

その結果、人類進化の初期段階で、神経伝達物質の取り込みは低下していることが明らかになったのです。

Credit:research-er.jp

VMAT1遺伝子のアミノ酸配列が変化していることと合わせて考えると、人類は、進化の初期段階で、不安やうつ傾向を抱きやすい道に舵を切ったことが伺えます。

他方、その後の過程(約10万年前)で現れたイソロイシン型が、不安やうつ症状への抵抗力を持っていることから、進化初期とは異なる神経伝達経路への外圧がかかっていると予測されます。

最近では「精神疾患は進化上理由があって残された」とする説や、「うつ病の人々は悲観的なのではなく、世界を正しく認識しているのだ」という抑うつリアリズム仮説も浮上しています。人類は他の生き物とは違う複雑な社会を作り上げてきたため、それに応じて心理的・感情的な成長も独特な道をたどっているのかもしれませんね。

「一人が好き」なのは内向的ではなく、実は「自律傾向が高い人」だった

reference: 東北大学 / written by くらのすけ

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