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なぜ牛乳に浮かんだシリアルは均等に浮かばないの?「不思議な力」の測定に成功

2021.01.27 Wednesday

2019.12.24 Tuesday

point
  • ミルクに浮かんだシリアルには不思議な力によってまとまる傾向がある
  • シリアル同士がまとまる力を測定することに成功した

朝食でシリアルを食べていると、ミルクの中に残ったシリアルが互いにまとまっているのを見ることがあるでしょう。ふだん気にする人は少ないですが、よくよく考えてみると、シリアルたちには不思議な力が働いていることが分かります。

例えば、湖の上を浮かんでいる複数のボートがあるとします。これらのボートがひとりでに動き出して、ボート同士がくっつくことがあるでしょうか?もちろん、そんな不思議な現象は起こりません。

しかし、もっと小さい世界では、つまりボウルの中のシリアルたちには、そのような不思議な力が働いているのです。この現象は「チェリオス効果」と呼ばれています。

ブラウン大学の研究チームは、困難とされていたチェリオス効果の力を測定することに成功しました。

研究の詳細は「Physical Review Letters」に掲載されました。

Direct Measurement of Capillary Attraction between Floating Disks
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.123.254502

チェリオス効果とは

チェリオス(Cheerious)は、アメリカでは「シリアルといえばチュリオス」というくらい有名なシリアルの商品名のことです。

チェリオス効果とは、水面上の軽い物体同士が、互いに引力を持っているかのようにグループになってまとまる現象のことです。実際に牛乳に浮かぶシリアルが同じような現象を示すことから、そう呼ばれるようになりました。

チェリオス効果の原理については、2005年に「American Journal of Physics」で明らかにされています。チェリオス効果は重力、浮力、表面張力によって作用するのです。

まずはチェリオス効果を理解するために、シリアルに働く力を考えてみましょう。

画像
Credit:depositphotos

シリアルは牛乳より密度が低いので浮きますが、この力を浮力と呼びます。シリアルは絶えず上向きに力が加わっていることになるため、水面に高低差がある場合は、水面に沿ってより高い場所へと移動するようになるのです。

また、表面張力により、水面は水平ではなく湾曲して高低差が生じることがあります。試験管の中の水面を想像すると分かりやすいかもしれません。試験管に接している部分が盛り上がるので、全体として凹型の水面になります。

この時点で、シリアルがボウルの端に集まる理由が説明できます。ボウルの端に向かって水面が盛り上がっているので、浮力があるシリアルは端に集まるのです。

A:シリアル単体が浮かんでいる B:2つのシリアルがまとまっている C:シリアルが器の端に集まっている /Credit:Soft-Matter

では、中央付近で、シリアルたちがまとまるのはなぜでしょうか?

これには重力が関係してきます。シリアルにも重さがあるので、重力によって下向きの力が加わります。しかし、それは表面張力を崩すほどの力ではないので、シリアルは水面に浮きつつも、水面に窪み(曲線)を作ることになります。

1つのシリアルは水面に曲線をつくるだけですが、他のシリアルが近くに来ると、互いに曲線を形成し、2つのシリアルの間には水面の山が出来るようになります。その山をお互いが浮力によって登ろうとするので、相互引力が働いているように作用し、まとまるというわけです。

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