- 足首の下側に位置する「距骨下関節」の3D画像撮影に初めて成功する
- 体重のかかった状態での動きのメカニズムが解明されることで、足首の怪我に関する新たな治療法を開発できる
あまり耳慣れませんが、人体のハンドルとも称される「距骨下関節(きょこつかかんせつ、subtalar joint)」は、体の前後左右のバランスに関係する重要な骨です。
ただし足首の下に隠れるように位置しており、これまで詳細な画像化はなされていません。
特に、(全体重がかかる)立った状態での距骨下関節の動きのメカニズムが不明だったため、捻挫を含む足首の治療や診断を難しくしていました。こうした事情も、足首の怪我が長引く原因のひとつです。
しかし今回、イギリス・ポーツマス大学の研究により、距骨下関節の3Dイメージングに初成功。治療法の改善および人工の距骨下関節の作成などが期待されています。
研究の詳細は、1月23日付けで「Scientific Reports」に掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41598-020-57912-z
3D撮影でメカニズムが明らかに
「CTスキャン(コンピューター断層撮影法)」および「デジタル画像相関法」を組み合わせて撮影された距骨下関節の3D画像がこちらです。
距骨下関節は、主に「踵骨(しょうこつ、下図A)」と「距骨(B)」の2つの骨から成ります。
足首を回したり、曲げたりするのに必要な柔軟さ、それから、体を前進させたり、足首を捻挫させることなくジャンプできる頑丈さがあります。
また、被験者数名の画像を組み合わせることで、立った状態での距骨下関節の正確な運動モデルも作成されました。これにより、足首をひねったり、曲げたり、歩いたりする際にかかる負荷状態を詳しく知ることができます。
それから、足首を「内向きに反った状態」と「外向きに反った状態」における距骨下関節への負荷変異も観察することができました。
上が「内向きに反った状態」で、下が「外向きに反った状態」で、色が赤に近づくほど負荷が強いことを示します。
研究主任のGianluca Tozzi氏は「こうしたクローズアップ観察が可能になることで、足首の怪我に対する新たな治療法の開発が期待できる」と話します。