スイスの生物ニューロンは、イタリアの人工ニューロンと交信する
この研究は、相互作用する3つの要素で構成されています。
1つ目の要素は、生物ニューロンです。スイスのチューリッヒ大学にて、ラットのニューロンが培養され、そこから電気信号を送受信できるようにしました。
2つ目の要素は、人工ニューロンです。イタリアのパドヴァ大学で開発され、シリコンマイクロチップ上に配置されました。生物ニューロンと同様に、電子信号を送受信できます。
3つ目の要素は、人工シナプスです。英国のサザンプトン大学で開発されました。生物ニューロンから人工ニューロンへ、および逆方向へ情報転送するための物理装置です。
ちなみに、生物シナプスと同様、情報伝達は一方通行なので、2つの人工シナプスを用意することにより、送受信が可能になっています。
3つの大学は、離れた場所でそれぞれをインターネットに繋ぐことにより、電子信号をリアルタイムで送受信することに成功しました。
この3つの要素がネットワークで統合されたのは世界で初めてです。
プロドロマキス教授は、この研究について次のように述べています。
「この開発は、生物ニューロンと人工ニューロンをグルーバルネットワークで通信するという、ニューロエレクトロニクスのインターネット基礎を築きます。他方、神経補綴技術に新しい展望をもたらし、脳の機能不全な部分をAIチップで置き換える研究への道を開きます」
今後、脳をインターネットに繋げる技術の進展だけでなく、医療分野への応用も期待できるでしょう。