腸内に蓄えた「クジラ墨」
オガワコマッコウの腸内には、暗赤色の液体が含まれる袋状の器官があり、敵の脅威を感じると、ここから11リットルを超える液体を一気に放出します。
放出された液体は下の動画のように瞬く間に一面に広がり、捕食者の視界を奪うため、その間に素早く逃げられるのです。
ただし前述したように、ふだんは深海に潜んでいるため、今回のように動画が撮影されることは滅多にありません。
生涯ほとんどの時間を深海での狩りに費やすという説もあるほど、謎に包まれた生物なのです。
彼らがこれほど長時間深海で暮らせる秘密は、マッコウクジラがもつタンパク質に隠れています。
マッコウクジラは全身の筋肉に、大量のミオグロビンというタンパク質を保有しており、ここに大量の酸素を蓄えることで、1時間呼吸無しで潜ることもできます。
そうすることで肺を空にして、深海の水圧を受けずに活動できるというわけです。
以前紹介した出身地のご当地ソングを交換するクジラといい、彼らの習性には興味が尽きませんね。