biology

自然界に必ずいる「はぐれ者」は種の存続のためのキーマンだった (2/4)

2021.01.28 Thursday

2020.03.20 Friday

前ページ命をかけた「タワーリング合体」

<

1

2

3

4

>

「はぐれ者」は全体を見て判断している?

タニタ氏と研究チームは、一般的には見向きもされないキイロタマホコリカビのはぐれ者にスポットを当てた研究を始めました。

まずは、キイロタマホコリカビがタワーをつくる様子を見てみましょう。

ご覧の通り、コロニーのほぼ全員が巨大なタワーに合体する横で、まったく動かない個体がちらほら確認できます。

これまでの研究で、彼らは集団行動の中で偶然生じるミスか、あるいは、遺伝的な欠陥のせいで集団行動に参加できないのではないかと考えられていました

しかし調査の結果、食欲や繁殖行動を含むあらゆる面で、異常は見られていません。

画像
集合をよそに「はぐれ者」が存在する/Credit: youtube

その後、はぐれ者の数を正確にカウントしたところ、その数はランダムに決まるのではなく、コロニー全体の数と密度によって変化していることが判明したのです。

例えば、コロニーが少なすぎる場合は、ほぼ全員が孤立した状態を保ち、一定数を超えると、タワーをつくるグループの中に少数のはぐれ者が準備されました。

コロニーがさらに大きくなると、それに応じてはぐれ者の数も増えていたのです。研究チームが、野生から採取したコロニーでは、3割近くが孤立状態を保っていました。

このことから、はぐれ者は、全体の様子を見て、集団に参加するか否かを判断している者と思われます。

次ページ「はぐれ者」は種の存続に不可欠だった

<

1

2

3

4

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

生物学のニュースbiology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!