歯の年輪は大きなストレスを記録する
研究チームが知りたかったのは、人間にも表れる同様の「年輪異常」が、その人の人生のイベント(出産や更年期障害)と相関しているか、という点でした。
研究の結果、それらの相関性を確かに見つけることができました。
例えば、35歳の女性の歯では、2つの暗いリングが見つかり、それは彼女の2回の出産の時期に対応していたのです。
さらに、年輪のマークは、他の大きなストレスイベント(全身疾患、投獄、農村部から都市部への引っ越し)などとも対応していました。
これらは、セメント質のストレスに対する「敏感さ」を示唆しています。
セリート氏によると、「歯は、静止しているわけでも、死んでいるわけでもありません」とのこと。
セメント質が証明しているように、歯は、確かに継続的に調整されており、生理学的プロセスに反応しています。
もちろん、今回の結果は、少数の個人でしか実証されていないため、更に大きなグループでの検証が必要となるでしょう。
今後、「歯の生物学的アーカイブ」の発見が、化石にも応用できるかもしれません。
太古からの唯一の情報源である骨や歯から、貴重な動的情報を汲み取ることができるかもしれないのです。