「コロニー」のライフサイクル
以上が、個体のライフサイクルとなりますが、近年の研究で、コロニーのライフサイクルの存在が明らかになりつつあります。
野生のコロニーを観察した研究によると、C. elegansの集団密度は、激しい増減を繰り返すことが判明しました。
まず、野生のコロニーがエサ場に遭遇すると、そこに定住して急激に数を増やします。しかし、同時に食料が枯渇するので、一気に数が減り始めます。
これが、耐性幼虫を部分的に生み出すきっかけとなっていました。
耐性幼虫が再びエサ場に遭遇すると、数が再び急増し、また食料枯渇に陥ります。あとは、これの繰り返しです。
しかし、もしも成虫の寿命が長く、繁殖時期までに時間がかかるなら、子孫を残す前にエサ場を食い尽くしてしまい、コロニーは絶滅してしまうでしょう。
けれども実際は、食料が尽きる前でに複数の耐性幼虫が残されています。
ここで研究チームは「成虫の早死が、コロニーの生存レベルを引き上げているのではないか」と仮定しました。