「早死」がコロニーを救っていた?
研究チームは、それを検証するため、コンピューターモデルを用いたシミュレーション実験を行いました。
モデル実験では、食料供給を制限した状態で、コロニーが成長する状況を設定しています。また、成虫の短寿命が、コロニー全体の繁殖率を高めるかどうかもテストされています。
その結果、短寿命や成虫の摂食率が低下することにより、コロニーの生存・繁殖率が高まることが判明しました。
しかも、研究チームのモデル説明では、コロニーの全員ではなく、一部が短寿命になるというのです。
具体的には、食料が枯渇していく中で、上図のように、「子孫を残せる線虫」と「早死にする線虫(L1s)」に分かれます。
成虫(赤)になったL1sは、早死にすることで、前者の繁殖可能な仲間たちに食料を残します。つまり、一部の早死にが、コロニーの存続を可能にするのです。
この結果は、あくまでモデル上での可能性ですが、実証されれば、遺伝子的に早死が決定される初の生物となるかもしれません。
研究の詳細は、4月16日付けで「Aging Cell」に掲載されています。