用途不明だった謎の「古代ボール状石器」問題が解決か 「食糧難に備えるため」

history_archeology 2020/04/24
Credit: ancient-origins

ヨーロッパや中東やユーラシア大陸など北半球の遺跡では、ボール状の石が頻繁に発見されています。

しかし場所がバラバラな上に年代も数十万年〜200万年前と広く、何らかの意図がありそうですが、その肝心の用途が分かりません。

これは考古学界における長年の未解決問題でした。

そこで今回、イスラエル・テルアビブ大学の最新研究によって有力な答えが出されました。研究によると、ボール状の石は動物の骨を砕くために使われていたというのです。

一体なぜ動物の骨を砕く必要があったのでしょうか?

ホームには存在しない石が使われていた

研究チームは、テルアビブの東12キロの地点にある「ケセム洞窟」で見つかった30個のボール状石器を調べました。

ケセム洞窟は、およそ40万〜20万年前に初期人類が住んでいた場所です。

見つかった石器は、完全な丸みを帯びてはいませんが、角が削られて、球体状に整っています。

Credit: journals.plos

面白いことに、その内の29個(1つは火打石と判明)は、同地では採取できないドロマイトや石灰岩からなっていたのです。

これは、ボール状石器がもともと他の場所にあり、それをテルアビブの人々が、ケセム洞窟に持ち帰ったことを示唆します。

おそらく、当時の社会では、自分たちで道具を新たにつくるよりも、住人のいなくなった場所を物色し、使えそうなものを再利用する方が早かったのでしょう。

石の付着物から用途が判明

さて、問題は「何のために石が使われたのか」ということです。

研究チームは、29個のボール状石器の内、実際に使用された痕跡のある10個を入念に調べました。

すると、石器表面に、動物の骨に含まれる海綿骨やコラーゲン繊維、脂肪分などの付着物が見つかったのです。

これは明らかに、石器が骨を砕く道具として使われたことを示します。

付着物が見られた/Credit: journals.plos

また研究チームは、同じ原料からレプリカをつくって、ボール状石器の有効性をテストしました。結果、骨を砕いて中の髄を取り出すことに成功しており、石器の有効性が証明されています。

Credit: journals.plos
Credit: journals.plos

研究主任のエラ・アサフ氏は「当時の狩猟・採集社会では、動物の骨髄が貴重な栄養源であったため、石器も重要な役割を果たしたでしょう」と話します。

また、本研究は「動物の骨髄が人類最古の缶詰フードだった」という同チームの先行研究にも繋がります。

ケセム洞窟では、髄の取り出された動物の骨が多数見つかっており、住人たちは食糧難に陥った際の保存食にしていました。

実験では、「骨内部の髄は9週間まで鮮度が保たれる」ことが実証されています。

そして、髄を取り出す際に使われたのが、このボール状石器だったのかもしれません。

 

研究の詳細は、4月9日付けで「PLOS One」に掲載されています。

40万年前、すでに人類は「缶詰フード」を食べていた?

あわせて読みたい

SHARE

TAG