地球に一番近い「褐色矮星」の大気はシマシマになっていることが判明!偏光観測では初の快挙

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イメージ図/Credit NASA/JPL-Caltech/R.Hurt (IPAC)
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  • 大気層が縞状になっている褐色矮星を発見
  • 「偏光観測」を用いた発見は、今回が初の快挙

地球から「ほ座(Vela)」の方角へ約6.5光年離れた場所に「Luhman 16AB」という天体があります。

2013年に発見された、2つの褐色矮星(AとB)からなる連星系です。今までに見つかっている褐色矮星の中で最も地球に近く、注目の調査対象となっています。

そして今回、その内の「Luhman 16A」の大気表面が、縞模様のバンド状になっていることが明らかにされました。

褐色矮星でバンド状の大気層が発見されたのは初めてではありませんが、「偏光観測(polarimetry)」により見つかったのは初のことです。

偏光観測とは、一体どのような方法なのでしょうか。

研究は、カリフォルニア工科大学およびNASA・ジェット推進研究所の共同で行われています。

「偏光」ってなに?

光というのは、波のように振動しながら進む電磁波です。

その振動方向は、瞬間ごとに色んな方向へ不規則に変化しています。これが、いわゆる「自然光」です。

自然光は振動方向がバラバラ/Credit: youtube

しかし、自然光は、物体の表面(大気層やガス、微粒子など)にぶつかると、振動方向が一定になります。

この光が「偏光(polarization)」です。

モノ表面に当たると偏光化される/Credit: youtube

なので、自然光は「偏光化されていない光(unpolarized light)」とも呼ばれます。

天体から放たれる偏光を調べることで、大気の分布や磁場の強さなどがわかります。

偏光は振動方向が一定になる/Credit: youtube

どうやって「偏光」を観測する?

偏光の観測には、「ポラライザー」と呼ばれる観測器が使われます。

「ポラライザー」のイメージ/Credit: youtube

ポラライザーは、振動方向がマッチする光だけを通しますが、逆に、振動方向が合わない光はブロックすることもできます。

貯金箱を思い浮かべてみてください。コインを入れる際は、その向きを貯金箱の穴の形に合わせる必要がありますね。

ポラライザーも原理は同じです。

自然光は通り抜けられる/Credit: youtube

自然光は、あらゆる方向に振動しているのでポラライザーをすり抜けられますが、偏光は形が合わないかぎり通れません。

これを利用したのが「偏光サングラス」です。

釣りや運転をする際によく使われますが、これは、波や道路などに反射する余計な偏光をシャットアウトしてくれる優れものです。

今回の偏光観測にも、このポラライザーが応用されています。

大気層がシマシマになっていた

ターゲットとなる「Luhman 16A」は、地球から6.5光年先にあります。

この数字は、天文学的に見ると大きくはありませんが、褐色矮星のように小さくてぼんやりとした天体の観測には十分遠いものです。

その表面を調べるには大型の望遠鏡でも不可能であるため、偏光観測が採用されたというわけです。

さて、褐色矮星の自然光は、大気中の奥深くから生じ、強い光を放っています。この自然光は大気の縁にぶつかることで偏光化されます。

大気の縁で偏光になる/Credit: youtube

しかし、天体内の大気が全球にわたって均一であれば、偏光は均質化されて自然光に戻ってしまいます。

大気が均一なら自然光に逆戻り/Credit: youtube

ところが、大気が均一でなく、分厚い雲のバンドがあれば、その部分が極端に偏光化されるのです。

雲のバンドがあれば、その部分が偏光化される/Credit: youtube

こうしたメカニズムをもとに「Luhman 16A」を偏光観測した結果、得られた大気モデルがこちらです。

「Luhman 16A」の大気モデル/Credit: youtube

木星の大気層と同じようにシマシマになっているのが分かります。

偏光観測を用いた縞状大気の発見は、褐色矮星において初の快挙です。

研究チームは「今後も偏光観測を用いた天体調査を進めていく」と話しています。

研究の詳細は、5月5日付けで「The Astrophysical Journal」に掲載されました。

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reference: sciencealertiflscience / written by くらのすけ
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