大気層がシマシマになっていた
ターゲットとなる「Luhman 16A」は、地球から6.5光年先にあります。
この数字は、天文学的に見ると大きくはありませんが、褐色矮星のように小さくてぼんやりとした天体の観測には十分遠いものです。
その表面を調べるには大型の望遠鏡でも不可能であるため、偏光観測が採用されたというわけです。
さて、褐色矮星の自然光は、大気中の奥深くから生じ、強い光を放っています。この自然光は大気の縁にぶつかることで偏光化されます。
しかし、天体内の大気が全球にわたって均一であれば、偏光は均質化されて自然光に戻ってしまいます。
ところが、大気が均一でなく、分厚い雲のバンドがあれば、その部分が極端に偏光化されるのです。
こうしたメカニズムをもとに「Luhman 16A」を偏光観測した結果、得られた大気モデルがこちらです。
木星の大気層と同じようにシマシマになっているのが分かります。
偏光観測を用いた縞状大気の発見は、褐色矮星において初の快挙です。
研究チームは「今後も偏光観測を用いた天体調査を進めていく」と話しています。
研究の詳細は、5月5日付けで「The Astrophysical Journal」に掲載されました。