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北極ではコケ玉が群れで同じ方向に転がる!? 奇妙な生態を調査

2021.01.27 Wednesday

2020.05.27 Wednesday

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コケ玉は群れで同じ方向に移動する/Credit:nature.Ruth Mottram
point
  • 氷河地帯にあるコケ玉は群れで移動する
  • コケ玉の移動方向は地面の傾きや風向きとは無関係である
  • コケ玉は内部が温かく、氷河地帯において小さな動物に生活環境を与えている

1950年代、アイスランドの研究者は氷河に覆われている大地の上に、手の平サイズの奇妙なコケ玉を発見しました。

コケ玉は、根を地面に付着させておらず、簡単に持ち上げることができたので、その見た目から「氷河マウス」と名付けられました。

発見から数十年後、21世紀の研究者はさらに奇妙なコケ玉の特性を発見。コケ玉は植物であるにもかかわらず「群れながら移動していた」のです。

研究論文の著者の一人であるティム・バルトロマウス氏は2006年にはじめてコケ玉を見て以降、その魅力に取りつかれ、コケ玉がなぜ群れで移動するか調査しています。

結果、コケ玉の移動は地面の傾きや風向きといった外部からもたらされる単純な力とは無関係であることが判明しました。

それどころか調査を行った地点のあるコケ玉は傾斜を登っていたり、風に逆らった転がりをみせていたのです。

この事実は、移動要因が明らかにコケ玉そのものにあることを意味します。

群れで転がるコケ玉は、意思を持つ植物なのでしょうか?

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コケ玉は群れで移動していた

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同じ群れのコケ玉は同じ方向に移動する/Credit:Polar Biology

これまでの研究では、コケ玉の移動方向や速度にかかわる正確なデータがありませんでした。

そこで研究者らはアラスカの氷河に存在するコケ玉に簡単な目印をつけ、定期的に位置を測定することで、移動に関する正確なデータを取ることにしました。

4年に及ぶ追跡が行われた結果、コケ玉の群れの移動方向に明らかな方向性があることが判明。

コケ玉の群れは夏が訪れると、北極において太陽が昇る方向である「南」に移動するようになり、夏の終わりが近づくと、西に沈む太陽を追うように「南南西」の方向に移動することがわかりました。

また、コケ玉の速度の中央値は一日につき2.5cmでしたが、夏になると一日で4cmに加速。その最高速度は一日につき7.8cmで、肉眼でも変化が分かる速度になったそうです。

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