水をはじいて油だけを吸収するスポンジが開発される

technology 2020/05/29
スポンジに水滴が落とされても全く吸収されずはじかれる/Credit:acs
point
  • 水をはじいて油だけ吸収するスマートスポンジが開発された
  • スマートスポンジは通常のスポンジに微細な炭素粒子を吹きかけることで作られる
  • 炭素は新油性の性質がありスポンジの上に油と結合する層を形成する

アメリカのノースウエスタン大学の研究者によって、水をはじいて油だけを吸収するスマートスポンジが開発されました。

吸収できる油の重量はスポンジの30倍以上。雑巾のように油をしぼり出すことで再使用もできます

また水と油の混合物に対しても、スポンジを浸すと、油のみをサッと吸収する能力もあるとのこと。

作り方も極めて簡単で、特別に調合したナノサイズの粒子を普通のスポンジに吹きかけるだけで、ただのスポンジがスマートスポンジに変わります。

今回の研究成果を応用すれば、油だけを吸い込んでお肌の水は奪わないスマート化粧品から、海洋に流出した原油の選択的な吸収まで、様々な分野で役立つ可能性があるでしょう。

では、どのような原理で水をはじいて油だけを吸収できるのでしょうか?

魔法の粉の正体はナノコンポジット

水の上に油を浮かべてスマートスポンジを落とすと、油だけを吸収する/Credit:acs

上の動画では、スマートスポンジが水に浮く油だけを吸い込む様子を描いています。

普通のスポンジをスマートスポンジに変えた鍵は、表面に吹きかけたナノサイズの粒子(ナノコンポジット)にありました。

水の底に沈んだ赤く染められた有機溶媒(クロロホルム)だけを吸収する様子/Credit:acs

このナノサイズの粒子は炭素をベースにしており、微量の酸化鉄が含まれています。

この混合粒子を吹きかけることで、スポンジの表面に磁性を持った立体的な微細構造をもった炭素粒子の層が形成されます。

また古くからダイヤモンドは油に弱いと言われるように、炭素は電気的に中性で油になじみやすい親油性の性質があります(ダイヤモンドに手の油がつくと黄ばむのは炭素のもつ親油性のため)。

そのため炭素の層で覆われたスポンジが水と油の混合液に接触すると、水をはじきながら油だけを内部に取り込むようになるのです。

選択的吸収は油以外でも可能

吹きかけられた粒子がつくる立体構造の例。表面に吹きかけられたナノ粒子は種類ごとに独自の立体構造を形成し、特定の物質を表面に吸着させる/Credit:Northwestern

今回の研究チームは選択的吸収を油で行いましたが、スポンジにふきかけるナノ粒子の種類を変えることで、油だけでなく、糖や脂肪酸、または体の害になる重金属といった、狙った特定の物質だけを吸収するスポンジを作ることが可能になるとのこと。

吸収した物質を便を通して排出することができれば、生活習慣病の予防だけでなく、重金属汚染にさらされた人々の体から毒を取り除く薬にもなるでしょう。

 

研究内容はアメリカ、ノースウエスタン大学のビカス・ナンドワナ氏らによってまとめられ、5月12日に学術雑誌「ACS Publications」に掲載されました。

OHM Sponge: A Versatile, Efficient, and Ecofriendly Environmental Remediation Platform
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.iecr.0c01493

 

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reference: eurekalert / written by katsu
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