プログラマーの脳は作業中に”誰かの声”を聞いていると判明! 数学力より音声理解力が重要

プログラム時だけ働く特異的機能は、発声理解の機能だった。プログラマーは誰の声を聞いているのだろうか?/Credit:depositphotos
point
  • プログラミング時にプログラマーの脳は会話音声に反応している
  • プログラミング時に特異的に活性化するのは音声理解能力だった
  • プログラマーの脳を研究することで認知プロセスの解明につながる

一般の人にとって、プログラマーの持つ知識と技術は別世界のもののように感じられます。

海外の研究者にとってもプログラマーの持つ特殊技能は興味の対象であったようで、古くは1980年代から、心理学的手法を使ったプログラマーの「特別な脳」の分析が行われてきました。

そんな中、近年の急速な神経科学の発展により、MRI(核磁気共鳴)やEEG(脳波測定)を用いて脳活動を可視化することが可能になってきました。

しかし、これまでの研究で可視化した脳領域は、読書やゲームといった日常生活時にも使われる汎用的な領域であり、プログラム時にだけ働く特異的な領域ではありませんでした。

そこで今回、ドイツのケムニッツ工科大学の研究者たちは、プログラム時にだけ働く「プログラム脳」の特定に挑戦。結果は、予測とは大きく異なるものとなりました。

なんと、プログラム時に働く脳機能は数学的能力や論理的推察力ではなく、会話時における相手の声を理解する機能であることが判明したのです。

神秘的なプログラミング能力の源が、会話能力であったという事実は、研究者を大いに驚かせました。

プログラム脳の場所をMRI画像の引き算でみつけだす

プログラム特異的な脳機能は数学や論理にかかわる機能ではなく、誰かの声を聞く機能だった/Credit:COMMUNICATIONS OF THE ACM(文字はナゾロジー編集部が記入)

プログラム時にだけ働く脳領域を調べるために研究者が考案した方法は「引き算」でした。

具体的には、MRIにプログラマーが入り、プログラムを理解する作業と、日常的な雑多な業務の2種類の作業を行ってもらったとのこと。

もしプログラム時にだけ活動する「プログラム脳」があるならば、プログラム理解時に活性化した部分から、日常業務時に活性化していた部分を引き算で取り除くことで、場所が判明するからです。

結果、上の図のように、左脳のいくつかの場所が浮き上がりました。

ですがこれらの場所は数学的や論理的思考が行われる場所ではなく、主に会話時において音声理解を担当する場所だったのです。

プログラミング全体において言語機能が重要であることは最新の研究でも示唆されている他、有名なオランダのコンピューター科学者であるダイクストラによって1980年代から示唆されていました。

しかしプログラム時に特異的に働くコア機能が、音声理解であったという事実は研究者たちにも予想外だったようです。

また当然ながら、実験は外部からの干渉を極力排して行われているので、プログラマーの脳が聞いていた声は、プログラマーの内部から発せられたものになります。

有名な小説家の多くが「自分は脳内のキャラの会話を書き写す書記に過ぎない」と語っているそうです。

もしかしたら小説家の「キャラが勝手に動き出す」現象に似た何かが、プログラマーの内部で仕事の遂行を後押ししているのかもしれません。

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