アボリジニ文化の継続性を示す
また、この樹木自体が比較的若く、石器が埋め込まれたのは1950年から1973年の間だと分かりました。
この結果は調査チームにとっては予想外のものでした。
なぜなら、当時は同化政策(白人社会に同化させる政策)などが行われており、ゴムの木が発見されたウィラジュリ地域でもその文化は奨励されていなかったからです。
また、当時のウィラジュリ族も文化の公開を警戒していました。
ですから、調査チームはウィラジュリで見つかった文化的痕跡がもっと昔のものだと考えていたのです。
しかし、見つかったゴムの木と痕跡は、文化が抑制されていた時代でもアボリジニ文化が根強く継続していたことを明らかにしました。
ただし、現段階でもいくつかの謎は残ったままです。
ゴムの木が見つかった地域では石器が比較的使われておらず、石器が残される可能性は低いのです。
石器を使ったものの、たまたま木から取れなくなったのかもしれません。
もう1つの可能性は、この石器が何らかの象徴としてこの木に意図的に埋め込まれたというものですが、その意図は分かりません。
この謎は完全に解明されないかもしれませんが、今回の発見と研究はアボリジニの知識と文化の継続性と回復力を明確に示すものとなりました。
この研究は6月10日、「Journal Australian Archaeology」に掲載されました。
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/03122417.2020.1769912?journalCode=raaa20
宇宙、素粒子、AI、遺伝子、歴史、心理学など、様々な角度から身近な「謎」を追求しています。
Nazologyについて
記事一覧へ