脳にAIを埋め込んで「気分を変える」実験が行われる(米研究)

science_technology 2017/11/30

米軍が人の脳にAIチップを埋め込み、人間の脳の気分を変えてしまうチップを開発しました。人の頭蓋骨の内側に移植されたマイクロチップが電気パルスを放射し、脳の化学的性質を変更するとのこと。

ただ早速「マインドコントロールチップ」と呼ばれるなど倫理的問題も指摘されており、大きな議論を引き起こすことになりそうです。

AI-controlled brain implants for mood disorders tested in people – nature
https://www.nature.com/news/ai-controlled-brain-implants-for-mood-disorders-tested-in-people-1.23031

気分障害の症状と連動する「マインドコントロールチップ」

米国防総省の支部で、軍の新技術を開発している国防高等研究計画局(DARPA)の科学者たちは、人間を対象に、気分を変更できるAI脳インプラントの実験を開始しました。

これらの「マインドコントロール」チップは電気パルスを放射し、「深部脳刺激」と呼ばれる過程において、脳の化学的性質を変化させます。もし成功することが証明されれば、この装置は多くの精神的健康状態の治療や治療への反応の改善を確実にするでしょう。

このチップは、気分障害と関連した活動パターンを検出できる人工知能アルゴリズムが組み込まれています。パターンが一度検出されると、AIが患者の脳にショックを与えて、健康な状態に自動的に戻すことができるのです。専門家は、このチップがパーキンソン病から慢性的な抑うつ症まで、広範囲の病気の患者に有益であり得ると信じています。

カリフォルニア大学の神経科学者エドワード・チャンは、科学誌「ネイチャー」にこう語っています。

「私たちは、現状の科学技術における数々の限界に気付いています。この技術の刺激的なことは、病気が再発した時に何が起こっているのかわかる窓口を、人間の脳に初めてつくろうとしているということです。」

 

共感力や集中能力の改善も

MRIスキャン画像。この装置は多くの精神健康状態を治療し、また治療へのより良い反応を実証するために使われると思われる

この実験に参加したのは、てんかんの発作を追跡するため、すでに脳に電極を埋め込んである6人です。この電極を通して、研究者たちは一日中患者たちの脳で何が起こっているのかを追跡することができました。

古いインプラントでは刺激を与えるタイミングは選択できませんでしたが、新しいアプローチによって、必要な時に刺激を与えることができるようになったのです。

研究チームは、患者の脳の活動を1から3週間の間追跡することで、患者の気分を「復号」するアルゴリズムを作ることができました。そして意思決定や感情を司る脳の領域に刺激を与えることで、参加者の一連のタスク処理能力が有意に改善することを発見したのです。感情障害は集中力や共感能力に対して問題がある場合が多いですが、そのタスクには、数字画像のマッチングや表情からの感情の読み取りも含まれていました。

研究者が人々の心を読めるようにはならないにしても、このチップが多くの倫理的関心を呼び起こすことは避けられません。研究チームのエンジニアリングディレクターであるアリク・ウィッジ氏は、「私たちは、感情を示す活動をも利用することになるだろう」と話しています。

最近は人工知能も「家族が欲しい」と語る時代。一見画期的な研究に思えますが、自分の脳にAIを埋め込んだとき、それは果たして以前までの「自分」だと言い切れるのでしょうか。

 

via: dailymail / translated and text by nazology staff

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