観測するまで石の位置が確定しない!?「量子囲碁」が面白い

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Credit:Xian-Min Jin
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  • 量子の性質を導入した「量子」が考案される
  • 石の位置は観測されるまで、2つの状態をもっている
  • 観測されたペアの石の片方は消失し、もう片方は盤上に残る

や将棋と同じくシンプルながらも奥の深いボードゲームとして有名です。

中国上海交通大学のシャンミン・ジン氏ら研究チームはに量子の「重ね合わせ」「もつれ」の要素を追加した「量子」を開発しました。

もともと深い思考が要求されるものでしたが、量子の要素を含むことで更に複雑で深い思考が必要となっています。

量子の「重ね合わせ」「もつれ」

Credit:depositphotos

量子論とは、原子よりも小さなミクロの世界を説明する理論であり、私たちの知っている常識が通用しません。

そしてその量子論によると、量子は「重ね合わせ」の性質を持っており、これは複数の状態で存在できる性質を指します。

さらに、量子は「もつれ」の性質も持っています。これは対を成す粒子には相互関係があり、片方の状態が決まることでもう片方の状態も即座に変化する性質のことです。

これらの性質により量子の世界では「観測されるまで2つの状態を保持し、片方を観測するともう片方の状態が決定され」ます。

これは量子世界を簡単に説明したものですが、研究チームはこの量子の要素をに取り入れてしまいました。

観測されるまで確定しない!?「量子

Credit:Xian-Min Jin

通常のは、互いに1つずつ石を置いていき自分の石でより多くの陣地を囲めるか競うゲームです。

相手の石を隙間なく囲むことでその石を除外し自分のものにできるため、石を置く位置やタイミングなど相手の思考を読む必要があるでしょう。

さて、量子も「陣地を囲む」「相手の石を取る」などの基本的なルールは同じです。しかし使用する石を光子と見立てているため、この石が量子的な働きをするようになっています。

では量子の基本的なルールをご紹介しましょう。

プレイヤーは自分のターンに2つの石(光子)を盤上に置きます。

この2つの石はお互いにもつれ状態にあるため、観測されるまで「置かれた2つの位置のどちらにも存在する可能性」があります。

お互いのプレイヤーは交互に2つずつ石を置いていきます。

そしていずれかの石の隣に新しい石が置かれることでその石は「観測」されたことになります観測されることでペアである2つの石の状態が決定され、片方は消滅し(取り除かれ)もう片方はそのまま盤上に残るのです。

Credit:Xian-Min Jin

量子の性質がをさらに複雑にしていますね。

盤上には、同時に2つの可能性をもつペア石が1ターンごとに増えていき、それらの石も隣接しなければ状態が決定しません。

そのため、プレイヤーは1つのペア石に対しても「盤上に残る可能性」と「残らない可能性」を考慮しなければならないでしょう。

自分の置く石ですら、観測されるまではどちらが盤上に残るのか分からないので、これまでにない複雑な思考が要求されます。

ちなみに量子を行なうには、対局状況を記憶するコンピューターと量子もつれを生成する装置が必要なので、私たちがすぐにプレーすることはできません。

今回の量子は実験的なものですが、ゲームに量子論を加えることでランダム性と複雑さを導入できると分かりました。

将来、量子論ベースのゲーム新時代が訪れるかもしれませんね。

 

この研究は「arxiv.org」に掲載されています。

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reference: phys / written by ナゾロジー編集部
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