核廃棄物をリサイクルした「核ダイヤモンド電池」は3万年も駆動すると発表される

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未来の電池はダイヤかもしれない。核ダイヤ電池をはじめて考案したのはイギリスのブリストル大学の研究者だった/Credit:University of Bristol . youtube

reference: newatlas

充電なしに3万年も駆動する夢の電池が開発されるかもしれません。

NDB社の発表によると、ローレンスリバモア国立研究所とケンブリッジ大学の2つの研究所が、無充電で半永久的に稼働する核ダイヤモンド電池の概念実証を完了したようです。

核ダイヤモンド電池は核廃棄物である放射性炭素(以下、炭素14)をダイヤモンドに変換することで作られます。

ダイヤモンドに変換された炭素14は、放射線を発しながら崩壊する過程で、電子も放出。この炭素14の崩壊がもたらす放射線の半減期は5730年で、これはすなわち、電子の放出も5730年以上(完全に出し切るまでには数万年)続くことを意味します。

現在はまだ試作品の状態ですが、半減期に放出される電子を利用すればスマートフォン(小型電池)の場合は9年、電気自動車(大型電池)なら90年、ペースメーカーなどの小型アプリケーションの場合は最大で28000年間、充電なしでの使用が可能になるとのこと。

そんな現在の充電池の概念を打ち砕く、核ダイヤモンド電池とはいったいどんな電池なのしょうか?

高エネルギー核廃棄物が、核ダイヤモンド電池の原料になる

原子炉から出る高エネルギーの廃棄物は高エネルギーの電池材料になる/Credit:University of Bristol . youtube

核ダイヤモンド電池の原料は、原子炉において減速材として使われている黒鉛です。

減速材とは原子力発電において、中性子と核燃料を効率よく反応させるために用いられる物質のことで、水や黒鉛が多用されています。

この黒鉛ですが、最初は鉛筆の芯と同じく安全な炭素から構成されています。

しかし炭素は原子炉の放射線に長時間晒されている間に、放射性を持つ炭素14という放射性同位体に変化。さらに数万年に渡って放射線を放出する核廃棄物となってしまうのです。

ところが、NDB社の研究者たちには、この数万年に渡る活発な活動を続ける炭素14が厄介なゴミではなく、有望かつクリーンなエネルギー源に見えました。

というのも、炭素14は放射線を放つ一方で、崩壊後は窒素と反ニュートリノと電子という3つの無害な成分に分解されるからです。

もしこの時、発生した電子を捕らえて集めることができれば、炭素14は半永久的に電気の供給源になれるはずです。

ただ原子炉から持ち出してきたままの状態(黒鉛)では不純物が多く十分に電子を取り出すことはできませんでした。

そこで研究者たちは遠心分離機を使って不純物を取り除き、さらに結晶状態を黒鉛からダイヤモンドに変換してみました。

その結果は、研究者たちの狙いが的中したのです。

核廃棄物はダイヤに、ダイヤはさらに電池になった

ベータ線崩壊を起こす炭素14がダイヤモンドの外部に向かって電子を放出している様子/Credit:NDB . youtube

純粋なダイヤモンドとなった炭素14(以下、核ダイヤモンド)を得た研究者は、さっそく電子の動きを調べました。

結果、核ダイヤモンドは放射線崩壊を起こすかたわら、内部から表面に向けて電子を放出していることが判明。

どうやら炭素14を不純物が混じった黒鉛から純粋なダイヤモンドの状態に変化させたことで、物性まで変化し、電子を外部に放出する能力が向上していたようです。

また核ダイヤモンドがうみだすエネルギーも調べられています。

1gの炭素14を含む核ダイヤモンドは、1日あたり15ジュールのエネルギーを供給する能力があるとのこと。

これは標準的な単三電池が放出するエネルギーとほぼ同じです。

しかし持続時間の差は圧倒的です。

単三電池は同じエネルギー(電力)を2.5年しか持続できませんが、核ダイヤモンドは数百年持続可能だったからです。

一部、専門家からは電気自動車をも動かせるとするNDB社の出力の算定法などに懐疑的な意見が出ていますが、NDB社は自社製品の市場での優位性に自信を持っているようです。

安全性の確保は、核ダイヤモンドを人工ダイヤモンドで覆うことにより実現!?

放射性の核ダイヤモンドの上に通常の非放射性のダイヤをかぶせると被爆しなくなる/Credit:NDB . youtube

核ダイヤモンドが半永久的な電池になる原理は判明しました。

しかし依然として強い放射線を発する核ダイヤモンドは危険であり、素手で触れるような代物ではありません。

鉛で囲めば放射線は遮断できますが、鉛は電気抵抗は大きく、電池の性能を引き下げてしまいます。

そこでNDB社の研究者は放射線を発する核ダイヤモンドを放射線を発しない人工ダイヤモンドで覆いました。

こうすることで、炭素14の発する放射線はバナナが発する放射線と同程度になり、電子も表面まで到達することが可能になったのです。

核ダイヤモンド電池の問題点

何百年ももつ電池はひょっとしたら人類文明よりも長持ちするかもしれない/Credit:depositphotos

今回の発表により、核ダイヤモンドの有用性だけでなく安全性も確保されました。

外側を覆うダイヤモンドの外殻は鋼の11.5倍の硬度をもち、不正な分解や操作を防止する安全シールドにもなるからです。

もし一般に普及すれば、90年間充電不要な電気自動車や9年間充電要らずの携帯電話が実現するでしょう。

ただ放射線崩壊を利用して電子を半永久的に放出し続ける仕組みは、充電を必要としない電池というよりも、むしろ小型の核発電機と言えるかもしれません。

またダイヤは硬度こそ硬いものの熱に弱く(燃えて炭になる)、火災などによって外側ダイヤの防護が破られた場合、熱風にあおられて内部の放射性物質が周辺の大気に拡散するといった危険も抱えています。

人工衛星の動力などに使う分には問題はなさそうですが、一般へ普及するにはさらなる安全策が必要ですね。

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