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Credit:Siddhartha Verma,Physics of Fluids(2020)
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「フェイスシールド」は新型コロナウイルスの飛沫を防げない可能性あり。米国が”飛沫の可視化”により検証

2021.01.27 Wednesday

2020.09.03 Thursday

最近は新型コロナウイルス感染予防のために、店員さんがフェイスシールドを装着している光景をよく見かけます。

しかし実際、あのフェイスシールドはどのくらいウイルスの飛沫を防いでいるのでしょうか?

9月1日付けで科学雑誌『Physics of Fluids』に発表され飛沫拡散の可視化実験では、人の吐く飛沫が細かな粒子となって気体のようにただよい、最終的にかなりの広範囲にまで及ぶ可能性が示されています

唾が飛ぶから危ないという認識だと、咳などによって飛沫は真っ直ぐ飛ぶだけというイメージを持ってしまいがちです。現在の感染予防は、そうしたイメージに基づいて対策されているものも多いでしょう。

今回の実験のように、エアロゾル化した飛沫の広がりを視覚化して確認することは、今後私たちが感染予防を考える上でも重要な知見をもたらすのです。

livescience https://www.livescience.com/face-shield-visualization-covid-19-spread.html

フェイスシールドや呼吸弁付きマスクは危険?

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Credit:Siddhartha Verma,Physics of Fluids(2020)

今回の研究で対象とされているのは、フェイスシールドや呼吸弁の付いたマスクの飛沫防止効果です。その他のマスクについてはこちらの記事も参考にしてください。

フェイスシールドは正面をカバーして、表情も相手に見えるという利点を持っていますが、見た通り下側は完全に開いています。

呼吸弁付きマスクは、主に建設作業などで粉塵を吸い込まないよう用いられるマスクですが、これは吸う場合は空気を濾過しますが、吐き出す息を濾過する効果は特にありません。

そのためこの2種のマスクについては、米国の疾病対策予防センター(略称: CDC)では布製マスクの代替品として推奨していません

しかし、フェイスシールドはもはや日常風景の一部のように利用されており、海外の学校では生徒たちに着用されて授業を実施している例もあります。

フェイスシールドが警戒の対象にしているのは、唾による比較的大きな液滴の飛散です。

しかし実際に人が咳をした場合、飛沫はエアロゾル化して空間に広がり、人が密集した環境ではこの飛沫が蓄積されて感染症につながる恐れがあります。

そこで、今回の研究チームは水とグリセリンで作った蒸気を霧吹きのように吐き出す機械を作り、このポンプをマネキンの口に設置することで、咳のシミュレーションを行いました

次ページ可視化された飛沫拡散

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