「3つのリング」に円盤が分裂した”幻想的な三重連星”をアルマ望遠鏡が観測。まるで天球儀みたい!

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Credit:ESO/Exeter/Kraus et al./L. Calçada

reference: ESO

オリオン座の方角へ約1300光年の距離に、3つの太陽を持つ三重連星系「オリオン座GW星 (GW Orionis)」という天体があります。

この連星系は、巨大な原始惑星系円盤に取り囲まれていますが、これが珍しいことに3つのリングに分裂して、それぞれが互い違いの角度に傾いているのです。

まるで天球儀のような不思議でロマン溢れる形のこの天体を、11年にも渡って詳細に観測した研究が、9月4日付けで科学雑誌『Sience』に掲載されました。

オリオン座GW星 のイメージ画像は見ているだけでも美しいですが、一体どのようにしてこの不思議な光景が形成されたのか、研究チームはその謎をシミュレーションによって解明しています。

天球儀のような幻想的な天体「オリオン座GW星 」

Credit:depositphotos

複数のリングが角度をつけて囲む宇宙を象った模型「天球儀」。

こういう置物カッコよくて好き、という人も多いと思いますが、そんな天球儀のようにロマン溢れる姿の天体が宇宙には存在しています。

それがオリオン座GW星です。

オリオン座GW星の想像図(左)。ESO超大型望遠鏡のSPHERE装置とALMA望遠鏡によって撮影されたオリオン座GW星(右)。/Credit:ESO/L. Calçada, Exeter/Kraus et al.

これは3つの恒星が互いに回り合う三重連星で、誕生してからまだ100万年程度と若く、その周囲は惑星を形成する塵とガスの集まり「原始惑星系円盤」が取り囲んでいます

私たちの太陽系もかつては原始惑星系円盤を持ち、そこから地球や火星も生まれてきましたが、こうした星を取り囲む円盤は、通常きれいに平面状で並んでいます。

ところがオリオン座GW星では、この原始惑星系円盤が3つのリングに分裂して、まるで天球儀のようにズレた角度で星を取り囲んでいるのです。

研究チームが観測データから再現したイメージ画像は、なんとも幻想的なその姿を描いています。

なぜ円盤は分裂したのか?

2つの望遠鏡装置ALMA とSPHEREによる「オリオン座GW星」の撮像の合成。/Credit:
ESO/Exeter/Kraus et al., ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)

ESOの2つの望遠鏡、ALMAと超大型望遠鏡VLTの観測装置「SPHERE」によって、この奇妙な円盤の詳細が徹底的に観測されました。

研究チームは11年間に及ぶ観測データを用い、この星系の状態と一致した数値シミュレーションを実現させることに成功したとのこと。

それによるとオリオン座GW星の内側の領域は、中心にある3つの星の動きによって乱され分裂し、歪んだ円盤が形成されたことがわかりました。

オリオン座GW星円盤の進化のコンピューターシミュレーション。/Credit:Exeter/Kraus et al.

これがその円盤進化のコンピューターシミュレーションです。時間の経過とともに中心で回る3つの星の影響で、円盤内側の領域が乱され傾いたリングに分裂していくのがわかります

今回の研究チームはこれを3つの太陽の影響として説明していますが、別のチームもALMAの観測データからこの星系を分析しており、こちらの研究も今年5月に「Astrophysical Journal Letters」に掲載されています。

それによると、円盤の形成は分裂したリングの間に惑星が存在しており、それが影響していると説明されています。

どちらの説明がより現実に近いのかは、現在はまだ明らかではありません。

幻想的な姿を3次元映像での再現

この内側のズレたリングは、外側の円盤に影を落としていて、そこからこの星系の3次元的な構造の詳細も明らかとなっています。

Credit:ESO/Exeter/Kraus et al./L. Calçada

この外側の円盤は、現在発見されている原始惑星系円盤としては最大規模のもので、地球質量の30倍に及ぶ塵が含まれています

ここからはズレた角度で歪んだ軌道を描いて回る系外惑星が発見される可能性があり、天文学者たちを興奮させています。

三重連星による影響や、円盤の形成方法の理解は、そんな特殊な起動を回る若い惑星を発見するために役立つと考えら得ています。

なんとも美しく不思議な天体が、宇宙にはまだ溢れているんですね。

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