10月6日、火星が地球に最接近!探し方と“観測が2倍楽しくなるポイント”を紹介

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火星の姿
火星の姿 / Credit: NASA

Reference: 国立天文台(1, 2, 3, 4, 5), Wikipedia(1, 2), NASA(1, 2, 3, 4, 5),平塚市博物館, Newspapers.com, 東京大学, 宇宙ビジネスジャーナル / written by ofugutan

現在、夜遅くに空を見上げると、赤く、大きくギラギラと輝く星が目につきます。

この星は、火星です。いよいよ10月6日に地球に最も近づくので、見逃せませんね。

とはいえ、「2年前に大接近が話題になったばかりだし、珍しくないのでは」と思った方もいるのでは?

そこで今回は、「星のソムリエ®が選ぶ、星の見どころ」の番外編として、なぜ今年の火星の接近を見るべきなのかという話と、観測をより楽しめるポイントをお伝えしたいと思います。

火星の接近の観測をしよう

どこで見える? 火星の探し方

地球に最接近する10月6日頃だと、夜21時頃に東の空に見えます。そのとき、夜空でもっとも明るい赤い星で、まず間違いありません。

周囲には暗い秋の星ばかりですから、ひと際明るく目立っています。

そこから明け方まで、東から南へ移動するのを一晩中見られますよ。

うお座の近くにある火星
うお座の近くにある火星 / Credit: Ofugutan(2020年9月18日23時頃撮影)
Credit: 国立天文台

なぜ今年の接近に注目すべきなのか

火星の公転周期は687日、地球の公転周期は365日なので、地球のほうが太陽の周りを1周りするのが早く、火星を追い越していきます。そのときに火星と地球が接近するのですが、その周期は約780日。

つまり、約2年2カ月ごとに地球と火星は接近します

ところが、地球の公転軌道は円に近いのに、火星の公転軌道は楕円形。このため、近づくといっても年によってその距離は大きく差があります。

小接近と大接近のときでは、地球と火星の間の距離や、火星の視直径は倍ほども違うのだとか。

Credit: 国立天文台

大接近のときは、望遠鏡で火星の表面の模様まで観察できるチャンスです。

前回の接近の2018年は、大接近だったので話題になりましたが、残念ながら火星に砂嵐が起こっていて、表面の模様の観察はできませんでした。

今年は大接近ではなく「準接近」ですが、地球と火星の距離は大接近のときと大きく変わらず、火星の表面の模様の観察が期待できます。

大接近となると、周期は15~17年に一度と気の遠くなる長さ。今年に匹敵する準接近レベルでも、13年後の2033年です。となると、この観察の好機を見逃せないですよね。

火星の観光名所? 観測の見どころ

火星を肉眼や双眼鏡で観測する際は、赤い色を意識してください。火星の土には鉄の酸化物が多く含まれるため、赤さびによって赤く見えます。

また、観望会やライブ配信で望遠鏡による大きな映像が見られたら、表面の模様は要チェックですね。

注目したいのは、もっともわかりやすい「極冠」と「大シルチス」、そして「模様の変化」です。

火星の模様
火星の模様 / Credit: 国立天文台

まず「極冠(きょっかん)」は極地方にある氷やドライアイスでできた白っぽい部分

地球は地軸が23.4°傾いているため季節の変化がありますが、火星もそれに近い25.2°傾いており、同様に季節の変化があります

季節にともなって極冠付近の温度が変わるため、極冠は大きくなったり小さくなったりします。

今回の最接近の頃には、南極冠が地球からよく見える向きに火星の自転軸が傾いているそう。ただ、火星の南半球は夏なので、極冠は小さい時期とのことですよ。

次に「大シルチス」は火星の中央あたりに位置する、もっとも黒い部分。インド半島をひっくり返したような三角形ぽい形をしています。黒っぽいのは明るい砂に覆われておらず、岩盤が露出しているからでは、と考えられています。

そして、火星は約24時間40分で自転しているため、観察する日時によって見える模様の位置が変わります。

自転による火星の模様の変化
自転による火星の模様の変化 / Credit: 国立天文台

例として、上の画像は2018年のときのもの。

もしも複数回、観測する機会がありましたら、模様の変化を見るのも面白いと思います。

また、砂嵐が起きて模様が薄くなったり見えなくなったりすることもありますよ。

左:砂嵐の前の火星 右:砂嵐のあと(2018年の大接近では砂嵐で表面の模様が見えなくなってしまった)
左:砂嵐の前の火星 右:砂嵐のあと(2018年の大接近では砂嵐で表面の模様が見えなくなってしまった) / Credit: NASA

さらに、観測にまつわるこんな話があります。

1877年の大接近の際、イタリアの天文学者が火星を望遠鏡で観察したら、線状の模様が見えました。

そこでイタリア語でCanali溝・水路)と記録したのですが、英語に翻訳された際 Canal運河)と誤訳されてしまいました。

そのため、運河を作れるくらい高度な文明を持った火星人がいるはずだ、と考えられるようになったそうです。

想像から、かなり細かく描かれた「火星の運河」
想像から、かなり細かく描かれた「火星の運河」 / Credit: (The Review, 10.27.1898) by Newspapers.com 

もちろん、時代とともに観測や探査を経て否定されるわけですが、観測の際にどれが「運河」に見えたか想像するのも面白いかもしれませんね。

火星ってどんな星

地球と火星の基本情報を比較してみました。

直径は地球の2分の1ほどで、大気は薄くて主成分は二酸化炭素です。大気圧は地球の約1000分の6しかありません。

でも、地球と火星は同じ岩石質の惑星ですし、地球の極地方くらいの気温になるということ、1日の長さが40分ほどしか変わらないこと、季節があることなど、太陽系の惑星の中ではもっとも地球に近い環境を持っています。

以前、火星からの隕石に微生物の化石らしきものがある、と話題になりましたが、地球に環境が似ているため「生命がいるかもしれない」と考えられているんですね。

地球と火星の比較
地球と火星の比較 / Credit: Ofugutan(平塚市博物館のサイト国立天文台の情報をもとに作成)

それに、火星の特徴として注目したいのは、太陽系で最大の山と峡谷があることです。

山の名前はオリンポス山。下の写真でも噴火口が見て取れますが、火山です。

標高は、周囲の地表から約2万7000メートルまで山体が立ち上がっていて、エベレストの約3倍に相当するのだとか。

また、下の写真で見える山頂のカルデラは、富士山がほぼ収まってしまうほど大きいのだそう。

オリンポス山。ギリシャにあって神話でもおなじみの神々が住む山の名前 / Credit: NASA

そして、峡谷の名前は「マリネリス峡谷」です。

長さは4000kmで、深さは7km、幅は最大200km。火星の赤道に沿って大きく伸びており、なんと惑星の表面の4分の1近くになる距離なのだとか。

Credit: NASA

ちなみに、グランド・キャニオンが長さ446km、平均深度およそ1200m、幅は最大29kmなので、非常に大きなことがわかります。

もしも遠い未来に火星に行けるようになったら、この2つは欠かせない観光スポットでしょうね。

火星の魅力

なぜ、古代から人の気を引いたのか

さて、明るくて目立つ惑星といえば、金星と木星もそうです。

でも、金星と木星は常に明るいですが、火星はほかの星にまぎれて目立たないときもあれば数年に一度輝くときもあります。

この不規則な感じと、赤い色が血を連想させるという、妖しさで人の気を引いたのでしょうね。

火星は古代から世界中で「戦争」や「不吉なこと」の前兆や、それをもたらす神と重ね合わせられました。

たとえば、バビロニアでは闘いと疫病や死をつかさどる神ネルガル、アステカでは好戦的な神ウィロポチトリ、ギリシャ神話では、軍神アレスとされました。

そして、ローマ神話ではアレスと同一視されるマルスとなり、これが火星の英語名Marsの由来です。

マルスのイメージ
マルスのイメージ / credit: depositphotos

実際に火星を見ると、「こんな明るくて赤い星あったかな」と突然出現したように感じ、古代の人々が異様に感じたのも納得できると思います。

現代人にも人気。さまざまな形で注目される

そんな火星は、今では大人気です。

現実に手の届きそうな星」ですから、創作物にしろ、研究にしろ、意欲をかきたてられるのでしょう。

創作物では、小説、映画、漫画、ゲーム「テラフォーミング」ものを筆頭に、火星が舞台なものは数多いですよね。『火星年代記』『トータル・リコール』『ARIA』など、何かしら触れたことがあるのでは?

また、イーロン・マスクの火星有人飛行計画もたびたび話題になりますよね。…果たして、生きている間に実現するんでしょうか。

研究での今後の発見にも期待です。惑星科学の分野で、火星は研究者の数がとても多いのだとか。

気候システム地質プロセスなど、火星と比較することで、より地球について深く知れるし、生命の起源や進化についてわかるのではと期待されています。

それに、近年はたくさんの火星探査機がありますから、現地からの情報も要チェックです。

ちなみに、探査機には惑星の周囲を周る「周回軌道型」、地上でその場にとどまって調査する「ランダー型」、地上を動き回る「ローバー型」の3つがあります。特にローバーによる写真は臨場感たっぷりで、まるで火星にいるような気持ちになりますね。

「セルフィー」を撮るローバー型の探査機キュリオシティ / Credit: NASA

火星は、最接近の10月6日のあと、1カ月くらいは観測の好条件といえるでしょう。当日天気が悪くても、チャンスを待ってください。

また、今年の「準接近」で火星に興味を持たれたら、今後も火星の話題を追ってみてはいかがでしょうか。

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