“拡張現実”を使って火災救助をサポートする「AR消防士用マスク」が開発中

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Credit:qwake.tech

火事による死亡原因のほとんどは煙による一酸化炭素中毒・窒息だとされています。煙が人々の視界と行動を奪うため、多くの人はそのまま炎の餌食となってしまうのです。

同様に煙は消防士たちの救出活動も妨げてきました。

こうした現状を打開すべく、サム・コスマン氏をCEOとするQwake TechnologiesはAR(拡張現実)を利用した消防士用マスク「C-THRU」を作成しました。

このマスクを装着すると、煙の中でも瞬時に建物の構造や人の位置が把握できるようになるのです。

従来の消防士用(拡張現実)

Credit:qwake.tech

煙が充満する建物内での捜索は困難を極めます。もちろん、これまでにも様々な技術が導入されており、その中の1つに熱感知カメラがあります。

熱の違いを画像として確認できるため、生存者を容易に発見できるでしょう。

しかしこの技術も完全ではなく、熱を感知する性質上いくつかの制限がありました。

そのためコスマン氏らは、新しい技術を導入することでさらに迅速かつ正確な捜索を可能にしようと考えたのです。

彼らが注目したのは、「(英: Augmented Reality、拡張現実)」でした。

とは実際の景色や地形などに、を利用して付加的な情報を与える技術です。

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よく対称的な例として挙げられるのが、「VR(英: Virtual Reality、仮想現実)」でしょう。

VRはの中に現実のような世界を構築する技術であり、3D技術の発展と共にゲームや映像作品、訓練シミュレータなどに利用されてきました。現実では難しいことを容易に体感できるという利点があります。

逆には現実に焦点を当てた技術です。現実との情報をリンクさせる必要があるため、GPSやカメラ機能の発展と共に活用されてきました。例えば社会現象ともなった「ポケモンGO」もに含まれます。

(拡張現実)で救助を容易にする「C-THRU」

Credit:qwake.tech , ナゾロジー編集部

現在作成中の消防士用C-THRUには高速赤外線カメラとを組み合わせた小型装置が組み込まれています。

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このは人間には分からない微妙な明かりの変化を検出でき、その情報をに送ります。その後情報は消防士をフォローする付加視覚情報へと変換されるのです。

そして消防士の目には透明なゴーグルが装着されており、ここに拡張情報が映し出されるようになっています。この過程は瞬時に行われるため、消防士たちはリアルタイムで拡張現実の世界を体感できるでしょう。

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通常、このようなカメラは赤外線などで得られた情報をそのまま映し出すだけですが、C-THRUはによって分かりやすく構築された必要情報のみを現実に付け加えることができるのです。

実際に消防士たちが体感する視野を確認してみましょう。

Credit:Sam Cossman

通常の状態では煙によって全く前方が把握できませんが、C-THRUを用いると緑色のフレームが付加されています。

また熱を感知する機能もあるため、露出した人間の肌は赤く映し出されます。

Credit:The Henry Ford

これにより建物の構造や、机の下にうずくまっている子供の位置を容易に把握できるでしょう。

Credit:qwake.tech

C-THRUが現場で利用されるなら、円滑な救助が可能になり生存率は大きく向上するはずです。また勇敢な消防士たちの命を保護するものともなるでしょう。

現在、コスマン氏は「C-THRUを18カ月以内に消防機関に配布したい」と考えています。

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