金星軌道の”内側”で小惑星を発見!詳細な分析結果が発表される

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2020 AV2
2020 AV2 / Aは発見時の2020 AV2の画像。Bは22分間隔の位置変化を示している。/Credit: Ip et al, 2020.

2020年の初め、金星軌道より内側で小惑星が発見されました。

この詳しい調査結果が台湾国立中央大学天文学研究所のWing-Huen Ip教授を主著者として、現在arXiv上に公開されています。

地球より内側の軌道の小惑星は、存在は予想されていましたが発見された報告がほとんどなく、非常に貴重な研究となります。

なぜ金星軌道の内側の小惑星は珍しいのか?

小惑星集団のイメージ
小惑星集団のイメージ / Credit:depositphotos

明けの明星、宵の明星と呼ぶように、金星は朝夕の太陽が地平線へ沈んだ時間帯に観測されます。

地球より内側の軌道を回る天体は、太陽の方向にいるため、地球が完全に太陽に背を向ける真夜中に観測することができません。

そのため朝夕や日食など限られたタイミングでしか観測することができないのです。

さらに太陽が眩しいため、小さい天体を発見することはさらに困難になります。

現在太陽系で見つかっている小惑星の集団は、木星軌道のトロヤ群や、木星と火星の間の小惑星帯(メインベルト)などですが、実は金星より内側の軌道にも、小惑星の集団があると予想されています。

しかし、太陽に近い小惑星帯は上述の通り観測が難しく、実際に発見した報告は未だありません。

金星軌道内小惑星「2020 AV2」の発見

2020 AV2の軌道
2020 AV2の軌道 / Credit: Ip et al, 2020.

2020年1月に発見された金星軌道内を回る小惑星は「2020 AV2」と名付けられました。

この小惑星の軌道は観測の結果、遠日点が0.654AU(AU、天文単位は地球-太陽間の距離を1とした距離単位)で、太陽の軌道面に対して約15度傾いた軌道を回っています。

公転周期は151日で、そのサイズは直径が約2kmだと推定されています。

このサイズは驚くべきものです。現在の地球近傍小惑星の集団モデルでは、金星軌道内にこのサイズの小惑星は1個未満と予測されているからです。

これは金星軌道内を回る小惑星の中で最大サイズのものである可能性が高いのです。

また安定した軌道を回っている2020 AV2の発見は、金星軌道内に小惑星の集団が存在し、この小天体もそこから来ている可能性があると考えられています。

未発見の小惑星群

木星軌道のトロヤ群など、小惑星の集団は〇〇群と名付けられます。

現在予想されている金星軌道内の小惑星帯は、未発見ではありますがアティラ群と名付けられていて、その存在の証拠が探索されています。

2020 AV2はこのアティラ群に属する小惑星と考えられています。ただ、2020 AV2の軌道は予想より太陽に近いため金星(英: Venus)とアティラ群(英: Atira)の名前を合成した、Vatira群という新しいグループの所属も提唱されています。

この2020 AV2は、分光観測による分析の結果、ケイ酸塩などが豊富なS型小惑星に分類されることがわかりました。

S型小惑星は「イトカワ」などを代表とした岩石型の小惑星で、メインベルトが起源です。

そのため、2020 AV2もメインベルトから金星内側の軌道まで弾かれて来た可能性があると予想されています。

または、太陽近傍に未知の小惑星発生源が存在し、そこが起源となる可能性も捨てきれません。

詳細はまだ不明ですが、この珍しい小惑星の発見をきっかけに、金星軌道より内側の小惑星帯が発見されることになるかもしれません。

近くても太陽系にはまだまだ未知の領域があるようです。

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