2000年前のミイラから死が迫った「少年の顔」を復元することに成功!やや年上に描かれていた

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肖像画、少年、顔、古代エジプト
肖像画、少年、顔、古代エジプト / 肖像画と復元像/Credit: Nerlich AG, et al. PLOS One (2020)

ドイツ・オーストリアの共同研究チームは、16日、約2000年前の古代エジプトのミイラから、少年の顔の3D復元に成功したと発表しました。

またミイラを納めた棺には、生前の姿を描いた少年の肖像画が添付されており、復元像との比較が可能になっています。

『PLOS One』に掲載された報告によると、「肖像画は実物にかなり忠実でしたが、実際の年齢よりやや年上に描かれている」とのことです。

本プロジェクトは、ミイラの肖像画と復元像を比較した初めての研究となっています。

「ミイラの肖像画」は埋葬の慣習だった?

少年のミイラは、1880年代に、エジプトの首都カイロの南西にあるハワーラ遺跡で発見されました。

ミイラの全長は78センチで、紀元前50〜紀元後100年の間のものとされています。

棺
棺 / Credit: Nerlich AG, et al. PLOS One (2020)

棺に描かれた肖像画は、紀元1〜3世紀のグレコローマン時代に古代エジプトで人気のあった慣習でした。

この時代に当たるミイラは、これまで約1000体見つかっていますが、肖像画が残っているのは100体ほどです。

肖像画
肖像画 / Credit: Nerlich AG, et al. PLOS One (2020)

肖像画がどれだけ正確であるかは専門家にとって興味深い疑問となっていましたが、調査されたことはありません。

今回のプロジェクトは、肖像画と復元像を比較する初の試みとなっています。

「少年の顔」を正確に復元

研究チームは、3Dデジタル画像を作成するため、ミイラをCTスキャンし、過去に撮影されたX線写真と合わせて詳細なデータを取りました。

その結果、少年の年齢は3〜4歳で、ミイラ化のために臓器の一部が取り除かれていることが分かっています。

また、肺組織に凝縮した残留物が見つかっており、死因が肺炎である可能性が示唆されました。

ミイラ、棺
ミイラ、棺 / Credit: Nerlich AG, et al. PLOS One (2020)
骨、CTスキャン
骨、CTスキャン / Credit: Nerlich AG, et al. PLOS One (2020)
骨、CTスキャン
骨、CTスキャン / Credit: Nerlich AG, et al. PLOS One (2020)

頭蓋骨はかなり幅広く、鼻筋も比較的太めで、幼児によく見られる特徴を示しています。

同チームは、皮膚の正確な厚みを再現するため、現代の3〜8歳の子供からデータを採取しました。ただし、肌と毛髪の色、髪型については肖像画に基づいて再現されています。

その結果がこちらです。

頭蓋骨、顔
頭蓋骨、顔 / Credit: Nerlich AG, et al. PLOS One (2020)
顔、復元像
顔、復元像 / Credit: Nerlich AG, et al. PLOS One (2020)
顔、復元像
顔、復元像 / Credit: Nerlich AG, et al. PLOS One (2020)

肖像画はホンモノにかなり忠実

肖像画と比較してみると、目や額の形、鼻から口までの間隔など、復元像とほぼピッタリ一致していました。

一方、肖像画では、鼻筋と口の幅が実際より細く描かれており、3〜4歳ほど大人びて見えます。

頭蓋骨、顔、復元像
頭蓋骨、顔、復元像 / Credit: Nerlich AG, et al. PLOS One (2020)

研究主任のアンドレアス・ネルリッヒ氏は「死者を実際の年齢より少し上に描くことが当時の慣習だったのかもしれない」とした上で、「あまりにも実物と似ていることから、肖像画は死の直前か直後に描かれたのでしょう」と指摘しています。

ただ、この一枚だけでは断言できないため、肖像画が残っている他のミイラの復元も進めて、当時の慣習を明らかにしていく予定です。

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