無制限に「空気の温度から発電」できる回路が発明される!グラフェンのブラウン運動からエネルギーを取り出す

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グラフェンは炭素からなる暑が1原子ししかない薄膜である。グラフェンもまた熱によってブラウン運動を行っている
グラフェンは炭素からなる暑が1原子ししかない薄膜である。グラフェンもまた熱によってブラウン運動を行っている / Credit:アーカンソー大学 / youtube

グラフェンから無制限に電力を抽出する回路が作成されました。

10月2日に『Physical Review E』に掲載された論文によると、グラフェン分子のわずかな震え(ブラウン運動)からエネルギーを無制限に取り出し、電力として使用可能な回路を開発したとのこと。

これは夢の永久機関が完成したことになるのでしょうか?

分子の振動からエネルギーを取り出すのは不可能とされていた

原理を簡略化した図。グラフェンの分子振動(ブラウン運動)からエネルギーを取り出して電球を光らせる
原理を簡略化した図。グラフェンの分子振動(ブラウン運動)からエネルギーを取り出して電球を光らせる / Credit:アーカンソー大学 / youtube

分子のブラウン運動からエネルギーを取り出すアイディアは古くから存在しました。

ブラウン運動とは熱を持った分子が振動する現象のことで、絶対零度以外の熱運動をする分子にみられる現象です。

もしこの分子のわずかな振動をエンジンのピストン動作に見立てて電力に変換することができれば、空気の温度そのものを電力源にすることが可能になり、既存の電池やバッテリーを置き換える全く新しい電力装置が誕生します。

ファイマンがブラウン運動からエネルギーを取り出すのが不可能であることを説明するときに使った架空の装置。歯車のまわる方向が歯車の形と逆回転を防ぐ爪で決められている。このとき右側の帆にランダムに分子が衝突した場合、右向きの回転のみが発生し、中央にある滑車を動かして重りを持ちあげる仕事をするはずだった。しかしこの装置は熱力学の第二法則に反しているために実際には動かない
ファイマンがブラウン運動からエネルギーを取り出すのが不可能であることを説明するときに使った架空の装置。歯車のまわる方向が歯車の形と逆回転を防ぐ爪で決められている。このとき右側の帆にランダムに分子が衝突した場合、右向きの回転のみが発生し、中央にある滑車を動かして重りを持ちあげる仕事をするはずだった。しかしこの装置は熱力学の第二法則に反しているために実際には動かない / Credit:wikipedia

しかし、これまで提案されたブラウン運動を用いたアイディアは、ファイマンをはじめとした過去の著名な科学者たちによって、熱力学の第2法則に反する永久機関であり、不可能だとされてきました。

しかしアーカンソー大学のティバド氏らは、今回あえて物理学の常識に挑戦し、見事に勝利。

グラフェンのブラウン運動から直流電流をうみだすことに成功します。ブラウン運動はどのように直流電流に変換したのでしょうか?

不可能が可能になった瞬間

グラフェンの振動から直流電流を取り出すために設計された回路。2か所に電流を一方のみに流す装置(ダイオード)が組み込まれている
グラフェンの振動から直流電流を取り出すために設計された回路。2か所に電流を一方のみに流す装置(ダイオード)が組み込まれている / Credit:アーカンソー大学 / youtube

鍵となったのは、電流を1方向のみに流す抵抗器(ダイオード)でした。

このダイオードを上の動画のように回路に「2つ」組み込むことで、グラフェンのランダムなブラウン運動から生じる電力を一方通行にすることが原理的に可能になり、結果として直流電流を発生させたのです。

また、ダイオードを使って電流の流れを制限することは、供給される電力を減らすのではなく、逆に増やしていたことまで判明しました。

ダイオードによる抵抗の変化率が回路に追加の電力をうみだすというのは、にわかには信じられませんが、研究チームは確率論的熱力学(確率熱力学)という新しい物理学の分野を使用して、謎の電力増加の存在を証明しました。

確率熱力学とは、ブラウン運動など、わずかなゆらぎが無視できない小さな世界における熱力学を扱う分野であり、今回の謎の電力増加のように、古典的なキッチリとしたエネルギー収支だけでは説明がつかない問題が説明可能です。

グラフェンが切り開く未来のエネルギー

グラフェンを中央に据えた回路。ブラウン運動から電力を創り出した世界ではじめての例である
グラフェンを中央に据えた回路。ブラウン運動から電力を創り出した世界ではじめての例である / Credit:アーカンソー大学

今回の研究により、中央にグラフェンを据えた回路から無制限に直流電流を得られることがわかりました。

電力の供給源は空気温度であるために、装置は外部電力を必要とせず、長期間動作可能です。

電池やバッテリー交換の必要のない独立した永久電源は時計やペースメーカーにとって最適な存在となるでしょう。

次の段階として研究チームは、グラフェンから発生した電力をコンデンサーに詰めて、瞬間的により強い電力を起こせるかを確かめていくとのこと。

もし成功すれば、電気自動車のような装置の電源にもなれるかもしれません。

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