分子の振動からエネルギーを取り出すのは不可能とされていた
![原理を簡略化した図。グラフェンの分子振動(ブラウン運動)からエネルギーを取り出して電球を光らせる](https://nazology.net/wp-content/uploads/2020/10/d46ff3ec5cf342a030c75f5b921ca920.gif)
分子のブラウン運動からエネルギーを取り出すアイディアは古くから存在しました。
ブラウン運動とは熱を持った分子が振動する現象のことで、絶対零度以外の熱運動をする分子にみられる現象です。
もしこの分子のわずかな振動をエンジンのピストン動作に見立てて電力に変換することができれば、空気の温度そのものを電力源にすることが可能になり、既存の電池やバッテリーを置き換える全く新しい電力装置が誕生します。
![ファイマンがブラウン運動からエネルギーを取り出すのが不可能であることを説明するときに使った架空の装置。歯車のまわる方向が歯車の形と逆回転を防ぐ爪で決められている。このとき右側の帆にランダムに分子が衝突した場合、右向きの回転のみが発生し、中央にある滑車を動かして重りを持ちあげる仕事をするはずだった。しかしこの装置は熱力学の第二法則に反しているために実際には動かない](https://nazology.net/wp-content/uploads/2020/10/2d81d89c368f6c329be054a1fd0d78ba.png)
しかし、これまで提案されたブラウン運動を用いたアイディアは、ファイマンをはじめとした過去の著名な科学者たちによって、熱力学の第2法則に反する永久機関であり、不可能だとされてきました。
しかしアーカンソー大学のティバド氏らは、今回あえて物理学の常識に挑戦し、見事に勝利。
グラフェンのブラウン運動から直流電流をうみだすことに成功します。ブラウン運動はどのように直流電流に変換したのでしょうか?