先史時代にこの場所で何があったのか?
巨大な獣も徘徊する危険な荒野を、おそらく小柄な母親は子供を抱えて足早に真っ直ぐ突き進んでいたようです。地面がぬかるんでいたことから、天気も悪かった可能性があります。
そんな中、この人物は何のために一体どこへ向かっていたのでしょう?
子供は病気だったのでしょうか? 集落を追い出されたのでしょうか? なぜ1人で帰ってきたのでしょう?
ただの足跡からわかる事実は意外と多くあります。研究者たちはその僅かな痕跡から、古代の生物の生態、人々の暮らし、その場所で起きた小さなドラマまでさまざまな推測を行います。
この足跡の主が腕から腕へと子供を抱え直しながら、足早になにかから逃げようとしていた可能性は高いでしょう。
しかし、この足跡の主に何があったのか、その真相を知る証拠はもはや残されていません。私たちはただ、この足跡から古代の出来事に想像を巡らせるしかないようです。