重度の脳障害を負った男性が睡眠薬で覚醒状態になる
重度の脳障害を負った男性が睡眠薬で覚醒状態になる / Credit:Science Direct(Cortex)
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重度の脳障害患者が「睡眠薬」によって、逆に”意識を取り戻す”事例が報告される

2020.10.23 Friday
medicalxpress https://medicalxpress.com/news/2020-10-awakening-pill-functional-brain-networks.html , sciencetimes https://www.sciencetimes.com/articles/27787/20201020/severely-brain-injured-man-cured-20-minutes-after-taking-sleeping-pill.htm

睡眠薬で意識が蘇る奇跡が起きました。

『Cortex』の11月号に掲載された論文によれば、重い脳障害によって8年間、無動無言症の状態にあった男性に睡眠薬として知られるゾルピデム(総称: マイスリー)を投与した結果、意識が覚醒し、自主的活動が再開されたとのこと。

しかし、いったいなぜ、睡眠薬が障害を負った患者に覚醒を促したのでしょうか?

無動無言症は起きているのに意識が閉ざされている

無動無言の状態では意識そのものは傷ついていない場合がある
無動無言の状態では意識そのものは傷ついていない場合がある / Credit:ナゾロジー

8年前、20代後半だったリチャード氏はアルコール乱用の病歴があり、ある日喉を詰まらせて酸素不足に陥り、に重度の障害を負いました。

結果、リチャード氏は生きてはいましたが、もはや意図的に話すことも、食べることも、トイレにいくこともできなくなってしまったとのこと。

多くの場合、このような状態に陥った患者は同時に深い昏睡状態に陥りますが、彼は違いました。

リチャード氏が陥った状態は医学的に無動無言症と言われており、通常の人間のように眠ったり起きたりするものの、知的・意図的な動作が失われる、きわめてまれな状態だったのです。

知的・意図的な動作が失われた彼は、車椅子の上で栄養を供給するチューブと排せつ物を誘導するチューブにつながれたまま、回復の兆しが見えず、絶望的な状況でした。

そこでリチャード氏の家族は最後の方法を試すことにしました。

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