大量絶滅を引き起こす隕石の落下。
大量絶滅を引き起こす隕石の落下。 / Credit:depositphotos
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生き延びるために”他者を食べることを選択した藻類”。暗闇の冬を乗り越えた生物の進化

2021.01.27 Wednesday

2020.11.02 Monday

Phys https://phys.org/news/2020-10-survive-asteroid-impact-algae.html,IFL SCIENCE https://www.iflscience.com/plants-and-animals/algae-survived-the-postdinosaurkilling-asteroid-darkness-by-eating-other-creatures/

約6600万年前、直径約10kmもの巨大隕石が地球に落下し、地球を支配していた恐竜たちの時代を終わらせました。

この隕石落下は巻き上げた塵で太陽光を遮り、海洋を酸性化させ恐竜だけでなくあらゆる地球上の生物の大量絶滅を引き起こしました。

しかし、現在の海には生物が溢れています。光合成ができなくなったというのに、海に棲んでいた藻類(プランクトン)の多くは、なぜこの災厄を生き延びることができたのでしょう?

10月30日にオープンアクセスジャーナル『Science Advances』で発表された新しい研究では、古第三紀初期の海底から発見された化石を分析したところ、当時の藻類がバクテリアなどを捕食する形態に進化してこの時代を生き延びていた、と報告しています。

遭難者が仲間の肉を食べて生き延びたという逸話があるように、大量絶滅の時期は捕食を本来しない生物も他の生物を食べて生き延びるしかなかったようです。

捕食を初めたプランクトン

6600万年前の小惑星衝突による大量絶滅イベントでは、大量の破片や塵が空を覆い地球を暗闇の世界に落とし入れたと考えられています。

このとき気候は寒冷化し、海は酸性化し、大気中にも有害なエアロゾルが放出されたと考えられます。地上では恐竜を初め多くの生物が死に絶えていき、海洋でも多くの藻類が死滅しました。

ここで気になるのが、海洋では一部の藻類は生き延びていたという事実です。

今回の研究チームの1人、カリフォルニア大学リバーサイド校の地質学者アンドリュー・リッジウェル氏は次のように述べています。「食物連鎖の基盤となる藻類が全滅していれば、海洋生物は海から一掃されていたでしょう。私たちの興味は、どうやって地球の海がそんな破滅的な運命を回避したのかということです」

この疑問を解決させるため、研究チームは同時代の保存状態の良い藻類の化石を調べ、時間の経過とともに彼らがどのように進化したかをシミュレーションしました。

大量絶滅直後である古第三紀の海底から見つかった化石は、ほとんどが円石藻と呼ばれる小さな生き物でした。円石藻は炭酸カルシウムでできた丸い盾に覆われた球体の植物プランクトンです。彼らは現代の海洋では広く見つかる存在です。

化石化した藻類の走査型電子顕微鏡画像。食物を引き込んだであろう穴の存在が見える。
化石化した藻類の走査型電子顕微鏡画像。食物を引き込んだであろう穴の存在が見える。 / Credit:Paul Brown/University College London

リッジウェル氏は、この化石化した殻に穴が空いているのを発見しました。こうした穴は現代の円石藻ではべん毛が生えていて、泳いでバクテリアやより小さな藻類を捕食するのに使われています。

ここから研究チームは、この時代の円石藻は現代のものに非常に似ていたという結論を導き出しました。

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